6年間の会社員経験を経て、26歳で故郷の大阪から上京。
以降、イラストレーターとして着実にキャリアを積み重ね、今ではマンガ、エッセイなど、ジャンルを超えて活躍を続ける益田ミリさん。代表作『すーちゃん』シリーズは柴咲コウ・真木よう子・寺島しのぶ主演で実写映画化もされている。
「原稿にむかうことも、休むことも、それから家事をすることも、できるだけバランスよくと思ってます」
40代だからこそのひとり旅の楽しさについて聞いた前編に続き、フリーランス人生における仕事と休みのバランスについて、益田さんの工夫を聞いた。新しい手帳を買ったら、最初にすることは?
仕事、旅、家事、映画。ぜんぶ等しく楽しみたい
――ご自身の中では、余暇と仕事のバランスはどうやってとっていますか。
原稿にむかうことも、休むことも、それから家事をすることも、できるだけバランスよくと思ってます。
旅が好きなので、いつも、簡単な年間計画を立ててます。
――具体的にはどんなふうに計画を?
スケジュール帳のカレンダーに、「このあたりと、このあたりに旅行」と、線を引いておくくらいです。決定事項じゃなくて、「行きたい」ってという希望です。
例えば、今年はフィンランドへ旅行したんですけど、そのときも年が明けるとすぐに月間カレンダーを開いて、「このあたりに行きたい」というところに線を引いておいたんですね。
そうすると手帳を開くたびに目に入ってくるから、「あ、行きたいって書いてるな」が「やっぱり行きたいな」になって「よし、行こう」「旅行会社に申し込もう」ってだんだん変化していくんですよ。何カ月前かの私が結構圧をかけてくる(笑)。
――「行けたら行く」ではなく予定に組み込んでしまうんですね。
海外旅行ほど大きなイベントじゃなくても、「温泉行きたい」「東北行きたい」とか、そういうことも手帳のカレンダーに書いておくんです。行けないことももちろんありますが、書いておけば、自分の字が「行きたい~」と訴えかけてくるんです。
手帳に「×」をつける日をつくろう
――紙の手帳の肉筆だからこそ、訴えかけてくるものがあるんだと思います。
あとは、旅行の予定とは別に、手帳に余白の日もつくっておくようにしています。
――仕事も趣味も何もしない休日という意味ですか?
その日に何をするか決めていい日、に近いかもしれません。観たい映画があれば観に行くし、原稿にむかってもいい。
たとえば、打ち合わせで先方が「この日はいかがですか?」と言われた日が、「余白」に当てている日だったら、「すみません、あいにくその日は」となります。「余白」が、もうその日の予定なんです。そういう日をつくっておくと、案外、落ち着きますよ。
落ち着くといえば、ツアー旅行の話に戻りますが、夜、ホテルの部屋で旅の日記を書くと、すごく落ち着きました。旅って、一日中、ずーっと情報が頭に入りつづけている状態じゃないですか。日記には、それをほぐす効果もあるんだと思います。
書いていると、ふと、自分の考え方が見えてくることもありました。そんな日記からできたのが、『美しいものを見に行くツアーひとり参加』(幻冬舎)というエッセイ集なんです。
エッセイの他にも、旅の持ち物や、スーツケースの詰め方、写真の整理術など、実用的なことも載っているので、ぜひ、旅のご参考にしていただければ!
(取材・文 阿部花恵 編集:笹川かおり)
ハフポスト日本版は、自立した個人の生きかたを特集する企画『#だからひとりが好き』を始めました。
学校や職場などでみんなと一緒でなければいけないという同調圧力に悩んだり、過度にみんなとつながろうとして疲弊したり...。繋がることが奨励され、ひとりで過ごす人は「ぼっち」「非リア」などという言葉とともに、否定的なイメージで語られる風潮もあります。
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