年齢を重ねるごとに円熟味を増し、個性的な色気のある俳優として輝きを放つ、永瀬正敏さん。最近では、カンヌ国際映画祭にも出品された映画『光』の主演も務めるなど、国際的にも注目される俳優の一人です。
また、主演ドラマ『私立探偵濱マイク』で永瀬さんが使用した衣装やアイテムが人気を集めるなど、永瀬さんのファッションが注目されることもしばしば。永瀬さんご自身のファッションへのこだわりや、大好きな革ジャンのことなど、存分にお話をうかがいました。
「裸に革ジャン」がカッコよく見えた
着やすい服やちょっと変わってる服が好きだったりしますね。アシンメトリーだったりとか、ちょっと手が加えられているものが好きなんです。でも、逆にめちゃめちゃシンプルな革ジャンやライダースジャケットとかも好き。
革ジャンは古着のライダースを1~2着と、新しいのをちょこっと持ってます。革ジャンが好きになったのは、ロックやパンクの世界で憧れの人たちが着ているのがカッコよかったから。裸に革ジャン、みたいなのがカッコよく見えたんですよね。
初めて革ジャン的なものを着たのは中学生か高校生の頃。当時はお金がなかったから、革ジャンだったのか、ビニジャンだったのか、合皮的なものだったと思いますけどね。
いまは、若い頃から知っている「ウルフズヘッド」っていう古着屋で買ったりしてますね。
自分では、あまりメンテナンスとかはしてなくって、手入れが大変になったらその古着屋さんに持っていて「どうにかして」ってお願いする(笑)。
海外で古着屋さんに行くのも好きで、案外安い革ジャンをゲットして喜んだりとかしてますよ。
大事にしている2枚の革ジャン
こだわりの革ジャンは2枚あって、1枚はウルフズヘッドのオーナーである幹田卓司くんとの出会いにもつながったもの。
吉田カバンの吉田克幸さんにプレゼントしていただいたルイスレザーのものなんですが、ものすごく高価で貴重な革ジャンだったから、本当は幹田くん売りたくなかったと思うんですけどね(笑)。ずっと大切にしてますね。
もう1枚はエディンバラ国際映画祭に呼ばれたときに、現地の古着屋さんで買ったものすごい安い革ジャン(笑)。以前、イギー・ポップにお会いしたときにちょうどその革ジャン着てたんです。
彼が僕の革ジャンを見て「いい革ジャン着てるね」って言ってくれて。「エディンバラの古着屋で買ったんだ」って話したら、「俺もそこで買った革ジャン持ってる」って言われたんです。ものすごく嬉しかったですね。
愛や想いがこもった服に、尊敬の念を抱く「気持ちが入る服」を選ぶ
革ジャン以外だと、デザイナーさんの愛や想いがこもった服を買うことも多いですね。知り合いのデザイナーやお世話になっているデザイナーがたくさんいるので、その人たちの新作を見るのも楽しみ。
それぞれ服を作っていくときの思いがあるじゃないですか。それって一種のアートだと思うので。なので、必ず1回着てみることにしますね。
彼らは、自分に合うか合わないかをみんなちゃんと言ってくれる。「こっちの服よりもこっちのほうがいいかな」っていうのもちゃんと言ってくれるし。
洋服は好きというか、ある意味ちょっと尊敬している部分もあるかも。「なるほど、こういうふうにも着れるんだ」とか「こういう服もあるんだ」という感じで、洋服から学んでいくところもありますよね。
実は、案外レディースの服も好きだったりします、もちろん着れないけど(笑)。飾っておきたいようなレディースの服もあったりする。そういう服も尊敬しますね。
衣装合わせも大事な役作りの時間
役を演じる上で衣装に助けられることもあります。こういう服を着ている男の子なんだなっていうのを、衣装合わせをして気づく部分もあるんです。台本を覚えたり、セリフを合わせたりするだけではなく、衣装合わせも役を作る上でとっても重要な時間だと思いますね。
現場ではその服が1枚だけ用意されていてもダメだったりする。
同じ洋服を2ポーズ、3ポーズ用意しておいて、だんだん汚していったりとか、破れてもいいようにしたりとか。アクションして汚れても、次またキレイな服をすぐ着れるようにとか。
そういうことも配慮されていたりするので、洋服を用意するスタイリストさんたちも大変なんですよね。