アメリカ・ノースカロライナ州で3月5日に行われた予備選挙で、マーク・ロビンソン副知事が共和党の州知事候補に指名された。
ロビンソン氏は数々の女性蔑視発言で知られており、4年前には憲法修正第19条がなかった時代、つまり女性に選挙権がなかった時代に戻った方が良いとも主張している。
ロビンソン氏が知事候補に指名されたことで新たに注目されているのは、2020年3月にピット郡で開かれた共和党女性委員会主催のイベントだ。
ロビンソン氏はこのイベントで「アメリカを『再び偉大な国』にするには、『黒人が木に吊り下げられていた時代』と『女性に参政権がない時代』のどちらに戻る方がいいかと、保守派の政治活動家キャンディス・オーウェンズ氏が尋ねられていた」というエピソードを紹介。
「自分なら間違いなく、女性が投票を認められなかった時代に戻る」と主張した。
その理由を「その時代には真の社会変革のために戦う人々がいた。その人たちは共和党員と呼ばれていた」と説明している。
ロビンソン氏はその後に「(人種差別の法律)ジム・クロウ法を終わらせたのは共和党だ」とも主張している(実際には、民主党と共和党、両党の議員とリンドン・ジョンソン大統領が1964年の公民権法と1965年の投票権法を成立させて、ジム・クロウ法を終わらせた)。
<動画:「女性が投票権を認められなかった時代に戻った方が良い」と主張するロビンソン氏>
数々の女性、フェミニスト蔑視
ロビンソン氏はFacebookなどでも、女性を蔑み、フェミニズムを攻撃する投稿を続けてきた。
2016年には、フェミニズムは悪魔が作ったと主張。自身をフェミニストだとする男性のことを「レースのパンティと同じくらい男らしく」「意思も心も弱い“男”」と馬鹿にしてきた。
フェミニストを何度も「フェミナチ」と呼び、「性差別主義者で、脇の下に毛が生え、うんち帽をかぶった左翼 」という言葉で批判したこともある。
また、2017年には「自分の居場所をわきまえない女より悪いのは、自分の居場所をわかっていない男だ」と書き込んでいる。
さらに、キリスト教保守派テレビ伝道師の故パット・ロバートソン氏同様に、「悪魔がレズビアニズムとフェミニズムを利用して、伝統的な家族を破壊している」という主張もしている。
フェミニズムを性差別や人種差別と同一視する投稿も多数あり、2016年9月には「黒人が人種差別に、女性は性差別に対して立ち上がるべきなら......男性はフェミニズムに対して立ち上がるべきではないのか?」という疑問を投げかけている。
同日には「フェミニズムとフェミニストにはうんざりだ。彼らは人種差別主義者と同じくらい、いやそれ以上にひどい」とも書き込んでいる。
さらに、ロビンソン氏は女性を「売春婦」「魔女」「拒絶されたドラッグ・クイーン」など、様々な言葉で攻撃してきた。
他にも、アドルフ・ヒトラーの言葉を引用し、イスラム教徒への偏見を煽り、性自認に沿ったトイレを使用するトランスジェンダー女性を逮捕すべきだと主張し、ホロコーストに疑念を投げかけ、数多くの危険な陰謀論を広めてきた。
公共の場で授乳する女性を嫌っており、2016年には「恥知らずの注目されたい豚ども」と批判している。
11月に行われる選挙で、ロビンソン氏は対立候補の民主党ジョシュ・スタイン司法長官と、ノースカロライナ州知事の座を争うことになる。
予備選挙でロビンソン氏の対立候補の1人を支持した共和党のトム・ティリス連邦上院議員は「誰が知事になるかは11月に有権者が決めることだ」と述べている。
同議員はロビンソン氏の扇動的な発言について「まったく同意できない」とハフポストUS版の取材で答えた。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。