■筋肉痛になったら何をする?
筋肉痛になった時は、何か楽にする方法はないのかと思いますよね? 残念ながら、筋肉痛緩和のために試みられることの多くは、意外やあまり効果がありません。(やらないよりは、やったほうが良いことのほうが多いですが)
<アイシング(患部を冷やす)>
水風呂やアイスマッサージにも、筋肉痛を打ち消す実質的な効果は、あまりありません。ただし、筋肉に過度の損傷が起きた場合、炎症を抑え、肉離れなどを予防するためには有効な手段となります。また、効果が高いのが、腱の炎症を抑制するという点。そういう観点では、アイシングは実践したほうが良いと思います。
<ストレッチ>
これは昔からの俗説みたいなもので、筋肉痛になっている筋肉をストレッチで伸ばすことを多くの人がやると思います。気持ちが良いのならば、問題ありませんが、ほどほどにしたほうがいいです。筋肉の伸ばし過ぎは、さらに筋肉に負担をかけます。修復を遅らせる場合もありますので、大抵は軽めにしたほうが賢明です。
ストレッチは、あくまで運動と考えましょう。伸ばしきるのではなく、伸ばしたり縮めたりして、準備運動として行うことをお勧めします。そういうストレッチならば、筋肉痛の予防には、有効です。
<軽い運動>
軽いジョギングなどのことですが、筋肉の修復をスピードアップさせるなどの実質的な効果はないでしょう。ただし、乳酸などの疲労物質の除去や新陳代謝を促す効果はあります。
<マッサージ>
効果があることもあります。「どんなタイプのマッサージを受けるか」「いつ施術を受ければ良いのか」などは、明確にはわかっていないようですし、ケースバイケースと言えなくもありません。疲労で硬くなった筋肉はほぐしたほうが良いですが、筋肉痛の部分は、気持ち良く感じられる範囲で利用するというスタンスが望ましいと思います。
ただ、筋肉に痛みがある状態で運動した場合に、その痛みをかばう動きになるために特定の筋肉に負担をかけることになります。当然ながら、カラダに歪みが生じますので、筋肉の状態を整え、カラダのバランスを修正する意味では、とても有効に作用するはずです。
<コンプレッションウェア>
密着するウェアで身体各所に圧を加えることにより筋肉の無駄な動きを抑えるので、余分な筋肉痛を予防するのには効果的です。回復を狙ったリカバリーウェアなるものも発売されていますので、運動後に着用すれば、たしかに効果が期待できます。ただし、体に正しくフィットしていることが条件です。心地良いフィット感が望ましく、タイト過ぎると逆効果です。
<鎮痛剤服用>
文字通り痛み(炎症)を鎮めます。用量を増やせば鎮痛効果がありますが、薬の種類によっては、筋肉の成長を阻害することもあります。サプリ感覚で常用できるものも販売されていますが、こうした使い方はお勧めできません。少量ならば悪影響はないですが、その場合は鎮痛効果もあまり期待できません。
■やっぱり!『栄養』が最も効果あり
<BCAA摂取>
BCAAとは、分岐鎖アミノ酸のことで、具体的には、バリン、ロイシン、イソロイシンのことを言います。筋肉の修復や筋肉痛の予防に効果があることが実証されており、愛用しているスポーツ選手はとても多いと思います。それだけではなく、持久系アミノ酸とも呼ばれていて、ランニングのパフォーマンスアップ(記録向上)に貢献することもわかってきており、ランナーの間では注目のサプリメントとして常飲され始めています。
*「筋肉は食べたものから作られる」の記事参照
<糖質摂取>
運動直後にブドウ糖を摂取すると筋肉の分解(損傷)が抑えられることもわかってきています。上記のBCAAに加えて、「吸収率の良い配合でブドウ糖が入ったスポーツドリンク」をランニング直後に飲むと、筋肉の分解が抑制されるので、遅発性筋肉痛のレベルが軽減される効果が期待できます。
■筋肉痛は対処より予防
上記の通り、筋肉痛になってからの効果的な対処法は「回復を待つ」「BCAAの積極的摂取」くらいしかありません。それよりも筋肉痛にならない予防(栄養、準備運動、ウェア)をあらかじめ考えておいたほうが賢明だと思います。レースの翌日に元気に仕事するためにも!
(2015年10月27日 「ランニングタウン」より転載)
「マラソンの翌日 元気に出社するために」