「マンドラゴラ」は引き抜くと恐ろしい悲鳴を上げ、その悲鳴を聞いた人間は発狂して死に至る...という伝説で知られる植物だ。兵庫県の淡路島にある動植物園「イングランドの丘」で開花したが、栽培担当者は、5年前には植え替えをした際に根茎を露わにしたという。果たして無事だったのか。
■マンドラゴラとは?
マンドラゴラはナス科の植物で、地中海沿岸などに自生する。人間の胴体と手足に似た形の根を持ち、根には幻覚、幻聴を起こす神経毒がある。かつては鎮痛剤・麻酔剤などに用いられていた。
根を引き抜く際に、人間の正気を失わせるような悲鳴を上げるという伝説がある。澁澤龍彦の「エロスの解剖 新装版」(河出文庫)では、以下のように書かれている。
「一般に、この植物の発する声は、じつに不愉快な、鋭い軋るような音で、人間でさえ、うっかりこれを耳にすれば、とても我慢できたものではなく、しばしば発狂してしまう場合があるという」
映画「ハリー・ポッター」シリーズでも薬草学の授業で登場するほか、人気ゲーム『ドラゴンクエストVI 幻の大地』でモンスターとして登場する。
■マンドラゴラの栽培担当者に取材すると...
「イングランドの丘」では、リニューアルオープンした2001年以前からマンドラゴラをバックヤードの温室で栽培していたが、12月19日に初めて開花。紫色の可憐な花が咲いた。
来場者の出入りの多いコアラ館に移して公開しており、1月10日現在で7つの花が咲き、つぼみは5つあるという。1月20日ごろまでは花を楽しめそうだ。
栽培担当の後藤敦さんは、ハフポスト日本版の取材に対して「地中海原産の植物なので極力、水を与えないように育てています」と話した。
5年前に後藤さんが植え替えた際には、マンドラゴラの根茎を露わにしたが「悲鳴は聞こえなかったです」と苦笑。以下のように伝説の真相を推測した。
「中世ヨーロッパでは、マンドラゴラは錬金術や魔術で使われるために珍重されていました。乱獲を防ぐために、このような伝説ができたのではないでしょうか」