カンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」を受賞し、世界中で大きな話題を呼んだ是枝裕和監督の映画『万引き家族』。8月3日から中国で公開されるにあたり、宣伝用ポスターが作られた。制作を担当したのは、中国のデザイナー、黄海さんだ。
樹木希林さん演じる初枝の年金をあてにして暮らしながら、足りない生活費を万引きでまかなっている柴田家を描いた『万引き家族』。
家族を家族たらしめるのは「血縁」なのか、それとも一緒に過ごした時間の長さなのか?
こうしたテーマを問いかける本作において、ポスターで描かれた2つのシーンはどちらもとても印象的だ。
1枚目は、海ではしゃぐ家族を、日傘をさして浜辺から眺めている初枝の目線から描いた。
ポスター作成を依頼した映画宣伝会社によれば、このシーンには以下のような思いを込めたという。
《中国の文化では、傘は人々を雨風から守るという意味合いを持ちます。
この家族は、海で幸せそうに遊び、おばあちゃんは家族みんなを気遣いながら、傘をさしていました。
デザイナーはこのシーンで、『家族』というのものが意味することや、この作品の愛について表現しようとしました。》
もう1枚は、ひっそり暮らす柴田家が、音だけ聞こえてくる花火を楽しんでいるシーンだ。このシーンについて同社は「デザイナーが最も感動した」とコメントを寄せている。
《この家族は、花火の音だけしか聞こえなかったけれど、心の中では世界の美しさや家族の愛を感じられていた。
このシーンが、デザイナーの最も感動したシーンだったということと、中国の沢山の観客に映画を訴求できるシーンだと思い選びました。》
このポスターがTwitterなどに投稿されると「鳥肌立つくらい好き」「映画の本質を理解して作られてる」などと絶賛のコメントが相次ぎ、話題になった。
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是枝裕和監督の『万引き家族』にかける思いを聞いたインタビューはこちら。