「マネージャーになった当初は、上手くいかないことも多く『こんな自分で大丈夫なのか』と思うようなことばかりでした。」
こう語ってくれたのは、又吉さん。 福岡での独立拠点立ち上げを牽引し、新たなマーケットを開拓した立役者。現在約10名のメンバーを統括する、マネージャーを務めています。
立ち上げてから、2年で業績を3倍に。社長賞を受賞し、いま社内でもっとも活躍している女性の1人です。
時に優しく拠点メンバーたちの相談に乗り、時に厳しいアドバイスもしてくれる。マネージャーとしてメンバーから絶大な信頼を寄せられている又吉さん。
しかし、取材でお話を聞いてみると、現在のポジションに至るまで、さまざまな不安や葛藤があったそうです。
「マネージャーになる前の私は、チームリーダーを任されていたもののプレイヤー色が強め。少人数のマネジメントしか経験したことがなかったので、正式にマネージャーとしての打診をもらったときは、不安もありました。」
そんな中でも、当時の先輩社員に背中を押してもらい、マネージャーの道へ。彼女が大切にしてきたのは、まっすぐに「目の前の仕事」に全力で向き合うこと。やったことがないことばかりの状況で、「できない」ではなく「どうしたらできるか?」を考え続けた。
「事業計画書も書いたこともないし、とくに立ち上げ期はうまくいかないことばかりでした。最初はダメダメなマネージャーだったと思います。でも、できないことは先輩や上司に相談して、とにかくできること、やれることをコツコツ積み重ねてきました。マネージャーにチャレンジしてよかったなと思います」
まずはチャレンジしてみるーー前向きな想いが大切であることを、又吉さんは教えてくれました。又吉さんが歩んできたマネージャーになるまでの道のりを、ご紹介します。
毎年、異動希望を出していました。
福岡営業メンバーたちをマネージャーとして導き、輝かしい業績を残し続ける又吉さん。福岡拠点の立ち上げに声が掛かったのは、入社6年目のこと。
「何が理由で声をかけてもらったのかは分からないのですが...毎年部署異動の希望調査の項目に全てチェックを入れていました。どこかに異動したいと思っていたわけではないけれど、『異動』はチャンスだと捉えています。
いろんな部署やチームのなかに身を置いたほうが、経験の幅は確実に増えますよね。何百人と社員がいる中で、まずは手を上げなければ誰にも気づいてもらえない。だから毎年チェックしていました」
チャンスを貪欲に求め続けた又吉さん。新卒で入社してから、異動したのは2拠点4部署。新卒採用、中途採用、人材紹介...さまざまな環境に自ら身をおき、その先々で人並み以上の実績を出していきます 。
そして、今度は「福岡への異動」という最大の変化がやってくるのでした。
毎月の業績をクリアするのに精一杯。
異動先の福岡は、立ち上げの真っ最中。チームメンバーは、新人2人と又吉さんだけ。
「想像以上に小さな部署でした。自分自身も最前線で営業活動に励む傍ら、新人育成も業績管理、マネジメント業務も事業計画の作成も。上司がおらず、人数もすくないので、すべて自分でやらなければいけない状況でした」
そして、その後会社からマネージャー職への挑戦を打診されます。喜びの反面、不安も大きかったといいます。
「業績面でも少しずつ安定してきたとき、事業部長から『マネージャーに立候補しないか』と言われて、正直すぐに回答できなかったんです。チャレンジしたい思いが強かったのですが、異動後結婚して家庭もあったため、ひとりで意思決定していいものか悩みました。」
新拠点のマネージャーというプレッシャー...悩んだ又吉さんがそれでもマネージャーを引き受けることになったのは先輩社員からの一言が背中を押してくれたのだそう。
「まずはやってみれば良いんじゃない?」
社内で頼りにしていた先輩で、女性としてのライフイベントを経て長く活躍されている方の一言に、又吉さんの張り詰めていた気持ちが軽くなったという。
「なんだかほっとしたというか、肩の力が良い意味で抜けたんです。すでに事業計画の作成や新人の育成など、マネージャーとしての仕事は任せてもらっているし。自分自身がやりたいと思えているのであれば、責任をもってやり切ってみたいと思えたんです。その一言を受けて、早速主人にも相談しました。すると『絶対チャレンジしたほうが良いよ』と応援の言葉をもらえたことも、励みになりました。」
異動をチャンスと捉えて手を挙げた頃の気持ちを思い出し、チャレンジしてみようと決心。ようやく又吉さんは昇格の打診を受け、マネージャーとしての一歩を踏み出すのでした。
マネージャーだからといって、1人で抱え込まなくていい
はじめは不安も多かったという又吉さん。最大の心配は、地理的に離れた拠点だからこそ、周囲に助けてくれる人がいないこと。
「業績が思うように上げられないとき、部下をどう教育して良いかわからないとき。すぐそばに頼れる相手がいないことに戸惑いました」
そこで、又吉さんが選んだのは、「とにかく助けを求め、相談しまくる」こと。
「事業部長に自ら定期的なMTGの場を設けてもらうことを提案したり、マネジメントがうまくいっている東京のマネージャーにいきなり電話をして相談してみたり。直接関わることがなかった方にも貪欲にアドバイスをもらいに行きました」
自分ひとりで解決しようとしなくてもいい。できる人に積極的に頼って、相談していく。課題を抱え込まずに、柔軟に動いていく姿勢が突破口に。
そして、マネージャーに挑戦してから約2年。周囲のアドバイスを糧に福岡拠点独自の事業戦略と部下マネジメントが評価され、又吉さんは全社でもっとも活躍した社員に送られる社長賞を受賞。社長賞の受賞者として、そして福岡拠点を導く「マネージャー」として、全社で注目を集めることになったのでした。
「今では相談することより、されることの方が多いですね。自分が経験したことが後輩の役に立つなら、それ以上の喜びはありません」と話す又吉さん。頼れるマネージャーとして、女性先輩としての頼れる姿が、そこにはありました。
【編集後記】
「挑戦しないより、挑戦して失敗する方が何倍もカッコいいと思うんです」
又吉さんはインタビュー中、そう笑顔で話していました。
「失敗する=カッコ悪いと思うから、みんな挑戦しないのかもしれません。でも、エン・ジャパンには挑戦する人を称賛する賞もあるくらいだから、もっとチャレンジしてみても良いと思います」と、力強く語っていた又吉さん。変わることを恐れず、とにかく貪欲に新しいことへ挑んできた又吉さんだからこそ、その言葉には説得力があるのでした。
確かに、「部署異動で手を挙げる」「まずはやってみる」など、はじめは小さなきっかけかもしれません。ですが、それが自分を変える大きな力となり、自分の想像を凌駕する、良い結果をもたらすこともあるのでしょう。
又吉さんの前向きな生き方に背中を押された、自分がいるのでした。
(文 板垣外 / 編集 野村愛 ・大原しおり)
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