南アフリカ共和国・ポートエリザベスに住むライナー・シェイフさんは、ダイビングオペレーター歴15年のベテランだ。
しかし、こんな経験は生まれて初めてだったと話す。シェイフさんだけでなく、ほとんどの人が経験したことがないだろう。彼はクジラに呑み込まれ――そして無事に生還したのだ。
シェイフさんは2月、イワシの群れを撮影するために仲間とともにシュノーケリングをしていた。
イワシの大群を捉えるサメの姿を撮影しようとした次の瞬間、突然目の前が真っ暗になったという。
「体に圧力を感じました。クジラに呑み込まれたんだとすぐにわかりました」と、シェイフさんは動物ニュースサイト「バークロフト・アニマル」に答えた。
呑み込まれた後のことを、シェイフさんはテレグラフ紙にこう語る。
「恐怖感を感じる余裕はありませんでした」
「直感で、息を止めました。クジラがインド洋深くに潜って私を吐き出すかもしれないと思ったので」
アメリカ海洋大気庁によると、ニタリクジラは5〜15分、深さ約300メートルまで潜ることができる。
しかし幸運にも、シェイフさんが恐れていた事態は起きなかった。クジラがすぐに口を開けたので、シェイフさんは外に出ることができた。
シェイフさんが「あっという間だった」と話す出来事の一部始終を、すぐ近くのボートに乗っていた同僚のフォトグラファーが撮影していた。
ニタリクジラは通常、イワシなどの群れで行動する小魚を食べる。シェイフさんは、今回の出来事は事故であり「私は巻き添えを食らっただけで、クジラも同じように驚いたでしょう」と説明する。
「クジラとの特別なつながりを体験できた」と話すシェイフさんだが、二度目はなくてもいいと思っているようだ。
「誰も知らない、鯨の内部事情に詳しくなったと思います」
「とても興味深い経験でした。ただ、もう一度体験したいとは思いません」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。