トランプ大統領が、新型コロナウイルス治療に「有効だ」と推奨していた「クロロキン」を服用した男性が死亡した。
男性を治療したアリゾナ州のバナーヘルス医療センターによると、死亡したのは60代の男性。
男性はクロロキンを服用したが、30分後に体調が急変し病院に運ばれた。救急治療を受けたが、その後に死亡した。
クロロキンを服用した男性の妻も重篤な状態にあり、集中治療を受けている。
■マラリアの治療薬として使われてきた
新型コロナウイルスの治療にも一定の効果を発揮するという一部研究結果もあるが、数は多くない。
トランプ大統領は3月20日の記者会見で、クロロキンが新型コロナウイルス感染症の治療に有効であり、FDAが承認したと発言した。
しかし直後に、FDAの長官が「新型コロナウイルスの治療薬としては正式に承認していない」と大統領の発言を訂正していた。
それでもトランプ大統領の発言の後、クロロキンに注目が集まった。
CNNによると、ナイジェリアではクロロキンを買い求める人が急増。服用した人の中毒例が複数報告された。
ナイジェリア疾病対策センターは、自己判断でクロロキンを使わないよう呼びかけている。
「WHOは、新型コロナウイルス対策としてクロロキンの使用を認可していません。科学者たちはコロナ対策のため複数の薬の安全性を確認しようとしています。どうか、クロロキンで自己治療をしないでください。危険であり、死に至る場合もあります」
クロロキンの新型コロナウイルスに対する有効性については、 FDAなどが調査中だ。バナーヘルス医療センターのダニエル・ブルック医師は、「クロロキンを使って自己流の治療をしないよう」強く訴えている。
【UPDATE 3月25日 12:45PM】
その後、死亡した男性の妻がNBCの取材に応じ、トランプ大統領が「クロロキンがコロナウイルスに有効だ」と話すのを聞いて、以前鯉に与えていた物にクロロキンが入っていたことを思い出して夫婦で服用したと説明した。
新型コロナウイルス感染を防ぐためだったという。服用後に急激に体調が悪化し、病院に搬送された。