男性が飲む経口避妊薬を開発しているアメリカの研究チームが、臨床試験で安全性が確認できたと発表した。
3月25日の発表によると、「11-beta-MNTDC」と呼ばれる開発中の経口避妊薬は、男性の2つのホルモンのはたらきに作用するピルで、精子形成を抑制しつつ、性欲を保つ効果があるという。
研究チームのクリスティーナ・ワング共同主任は、避妊手段にも男女平等が求められるとTIMEに話している。
「女性は手段が豊富です。ピル、皮膚パッチ、避妊リング、IUD(子宮内避妊器具)、注射などがあります」
「男性はホルモン剤による避妊法が全くありません。男女の基準が平等ではないのです」
臨床試験を実施したのはワシントン大学とカリフォニア大学ロサンゼルス校傘下の研究所「LA BioMed」。同試験に参加した男性40人のうち、薬を服用した人に大きな副作用はなかったという。更なる研究やアメリカ政府の承認を控え、市販まで約10年かかると予想される。
同チームは2018年2月にも、「DMAU」という男性用の経口避妊薬の研究を発表している。ワング氏は複数の研究を平行し、最小の副作用で最大の効果がある薬を開発し、避妊医療を躍進させるのが目標という。
日本では欧米諸国に比べ、避妊の選択肢が少ない。2016年の日本家族計画協会の調査によると、ほとんどの人は男性が主体的に選ぶコンドームを使っている。コンドームには外れたり破れたりすると避妊は失敗するという欠点がある。
「精子を抑えて性欲を保つ」男性用ピルの安全試験が良好
避妊にも男女平等を。