タクシー配車サービス、相乗り、ライドシェアなど、交通領域のサービスが次々に誕生。これら複数のサービスを統合し、より良い移動体験を目指す動き・サービスを総称し「MaaS(Mobility as a Service)」と呼ぶ。関連企業の動きを求人と共に見ていこう。
進む、交通革命
MaaSとは、ユーザー一人ひとりに最適な移動手段を提供するサービスの総称。バス・電車・タクシー・飛行機など、あらゆる交通手段を組み合わせ、ユーザーの「移動体験」を軸にサービス設計を行なう。
代表例で言えば、フィンランドの首都ヘルシンキで提供される「Whim(ウィム)」というサービスがある。スマートフォンアプリに移動先を入力すれば、最適なルート・交通手段が表示され、アプリ内ですべての手配・決済ができる。乗車はアプリの画面を見せるだけという「シンプルさ」が注目される。
さらに台湾の高雄市でも2018年9月、公共交通乗り放題サービス「Men-Go(メンゴー)」がはじまった。地下鉄・バス・フェリー・シェアサイクルなどが定額で乗り放題となるもの。官民連携のプロジェクトとして進められている。
MaaSの普及で期待されるのは、ただ移動体験の効率化にとどまらない。
たとえば、「自家用車の所有」という価値観が大きく変わるかもしれない。「持たない」ことで経済的な負担軽減、さらに都市部における交通渋滞解消、排気ガス削減、過疎地域の交通問題解決…こういったさまざまな課題解決の手段として普及が期待される。
MaaSを推し進めていく、日本の企業たち
日本でも「MaaS」を体現するサービスの導入、実証実験など、動きが活発となってきた。
たとえば、ライドシェア大手のUber、DiDiなども次々に日本進出。国内企業としてもJapanTaxi、DeNAなどが配車サービスを、オリックス、タイムズなどがカーシェアサービスをリリースしている。
さらに、国家としても新たな交通サービスの実現に向け、本格的な動きを見せ始めた。たとえば、2019年4月には、トヨタ・ホンダ・ソフトバンクなどとの連携を発表。カーシェアリングや自動運転車による無人配送などの実証実験を手がけていく方針だ。
特に注目したいのが、2019年3月にトヨタとソフトバンクの合弁会社「MONET Technologies」が立ち上げた「MONETコンソーシアム」。
ホンダ、ヤマトホールディングス、ファーストリテイリング、伊藤忠商事など88社が名を連ね、MaaS創出を目的に掲げている。物流、小売、商社、IT、金融、不動産などのリーディングカンパニーが参加。業界・業種の垣根を超えた企業間連携による「MaaS」の推進も加速していきそうだ。
こういった市場の動きを受け、求人も活況に。たとえば、「交通×テクノロジー」企業のJapanTaxi、DeNAのオートモーティブ事業部、さらに中国の最大手ライドシェア企業なども募集を行なっていた。
人々の生活の根幹に関わる“移動”。「データ」と「体験」を紐づけ、さらなる利便向上を推し進める「MaaS」の領域。新たな時代における「キャリアの選択肢」としても注目しておきたい業界だ。