『M-1グランプリ2018』決勝進出者は? 敗者復活組はミキに決定【UPDATE】

12/2(日)はM-1グランプリ。
「M-1グランプリ2018」決勝進出者9組
「M-1グランプリ2018」決勝進出者9組
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

12月2日(日)午後6時34分から、漫才日本一を決める『M-1グランプリ2018』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の決勝戦が放送される。

エントリー総数4640組のうち、予選を勝ち抜き決勝に駒を進めたのは以下の9組(エントリー順)。さらに敗者復活戦の勝者1組を加えた10組が決勝で争うことになる。

【UPDATE 2018/12/2 19:10】視聴者投票の結果、敗者復活組はミキに決定した。

霜降り明星

スーパーマラドーナ

トム・ブラウン

和牛

ギャロップ

見取り図

かまいたち

ゆにばーす

ジャルジャル

敗者復活:ミキ

ファイナリスト9組を紹介しながら、決勝の見どころを紹介したい。

9組の中で決勝進出経験があるのは、ジャルジャル、スーパーマラドーナ、和牛、かまいたち、ゆにばーすの5組。いずれも2017年の大会でも決勝に進んでいる。

決勝経験組の中でも優勝候補の筆頭と言われているのが、和牛スーパーマラドーナだ。

この2組は『M-1グランプリ』が休止期間を経て復活した2015年以降、3年連続で決勝に進み、常に優勝戦線に絡んでいる。特に和牛は2016年、2017年と2年連続で準優勝という結果に終わり、あと一歩のところで涙を呑んでいる。

和牛(2006年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

和牛
和牛
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

和牛は、理屈っぽいボケの水田信二と柔らかいツッコミの川西賢志郎のコンビ。それぞれの個性を生かした多彩なネタを持っている。

『M-1グランプリ』では序盤に伏線を張って終盤にそれを回収するような構成力のある漫才を見せることが多く、技術・発想ともに高く評価されている。ライブシーンの若手芸人の中では圧倒的な人気を誇っているのだが、決してその立場に安住せずにネタを磨き続けている。

スーパーマラドーナ(2003年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

スーパーマラドーナ
スーパーマラドーナ
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

スーパーマラドーナの武智は『M-1グランプリ』に並々ならぬ情熱を燃やしている芸人の1人だ。

「誰よりも『M-1』のことを考えている」と公言し、ネタ作りに打ち込んでいる。一方の田中一彦は、『M-1』にもお笑いにも興味がなく、やる気ゼロ。この激しすぎるモチベーション・ギャップが彼ら独自の色になっている。

かまいたち(2004年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

かまいたち
かまいたち
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

優勝争いでこの2組に続きそうなのが、かまいたちとジャルジャルだ。かまいたちは2017年の『キングオブコント2017』でも優勝を果たしているため、『M-1グランプリ』で優勝すれば前人未到の2冠達成となる。

漫才とコントの「二刀流」を高いレベルでこなせる芸人はめったにいない。かまいたちは「感情を爆発させる」という賞レース向きの漫才を得意としているため、優勝も十分射程距離内にある。

ジャルジャル(2003年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

ジャルジャル
ジャルジャル
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

ジャルジャルは、2017年の大会でゲームのような掛け合いを演じる独創的な漫才を披露して見る人の度肝を抜いた。10組中6位という結果に終わったものの、審査員の1人である松本人志は最高点をつけていたし、「一番面白かった」という感想を残す視聴者もいた。

彼らは今年もセオリーにとらわれない革新的な漫才を用意している。勢いに乗れば優勝もありうる。

ゆにばーす(2013年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

ゆにばーす
ゆにばーす
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

ゆにばーすの川瀬名人も、スーパーマラドーナの武智と並んで、『M-1グランプリ』への情熱を公言する芸人の1人だ。「優勝をしたら芸人を辞める」と言っているほどだから、その熱量は桁違いである。『M-1グランプリ』の傾向と対策を徹底的に研究した彼の努力は実を結ぶのだろうか。

トム・ブラウン(2009年結成、ケイダッシュステージ)

トム・ブラウン
トム・ブラウン
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

初決勝組の中では、トム・ブラウンに注目したい。

2人が一緒になってふざけて暴走する、実質的に「ツッコミ不在」の漫才が特徴的だ。幼稚園児がクレヨンで描いた落書きのような、自由奔放で力強い漫才である。型にはまったときの爆発力は他の追随を許さないだろう。

ギャロップ(2003年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

ギャロップ
ギャロップ
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

見取り図(2007年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

見取り図
見取り図
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

霜降り明星(2013年結成、よしもとクリエイティブ・エージェンシー)

霜降り明星
霜降り明星
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

もちろん、大阪の劇場では「スベリ知らず」と噂される実力派のギャロップ、とぼけた味わいのあるツッコミが魅力的な見取り図、よしもとの若手で期待度No.1の霜降り明星も、それぞれに強みを持っている。

 ◇

2018年の大会で審査員を務めるのは、オール巨人、上沼恵美子、サンドウィッチマン・富澤たけし、立川志らく、ナイツ・塙宣之、中川家・礼二、松本人志の7人(50音順)。志らくと塙が審査をするのは初めてだ。

この7人の顔ぶれを見ると、「東西の偏りをなるべく小さくする」「次世代のM-1審査員を育成する」という2つの意図を感じる。

東西格差の問題は特に重要だ。『M-1グランプリ』は吉本興業と大阪の朝日放送が主体となって行われるイベントであり、もともと関西色が強かった。決勝に進むのも関西芸人が圧倒的に多い。そこで審査員まで関西人で固められてしまうと、さすがに不公平だという印象を与えてしまう。そのため、今回は志らく、富澤、塙という非関西人3人が名を連ねているのだ。

塙が起用されたのは、これまでの漫才師としての実績が評価されたからだろう。『M-1グランプリ』や『THE MANZAI』での優勝経験こそないものの、何度も上位に食い込んでいるし、老若男女を笑わせる上質な漫才を作り続けている数少ない芸人の1人である。この世代でこれだけの実績を持っている非関西系の漫才師はそれほど多くないため、今後もお笑いコンテストの審査員として重宝されそうだ。

審査の傾向としては、志らく以外の6人が漫才師であるため、漫才の技術的な側面が主に評価されることになるだろう。過去の大会でも全体的にそういう傾向は見られた。

ただ、松本だけは漫才師としては例外的にやや発想力に偏った審査をする。志らくも、落語家の中では新しい笑いに対する理解があるタイプであり、自分が面白いと感じれば素直に高得点をつけるだろう。また、新しく審査員に加わる塙がどういう基準で採点をするのかも読めない部分がある。この3人の点数の付け方が勝敗を分ける鍵になるだろう。

「M-1グランプリ2018」決勝進出者9組
「M-1グランプリ2018」決勝進出者9組
©2018 M-1GRANDPRIX、©2018 ABCテレビ/吉本興業

今回の大会では、敗者復活戦も例年にない激戦になりそうだ。本来ならストレートに決勝に行ってもおかしくないくらいの実力者がごろごろしている。

中でも、今年ラストイヤーを迎えるプラス・マイナス、若手でトップクラスの人気を誇るミキ、昨年の大会で上沼に酷評されたことでも話題になったマヂカルラブリーなどが最有力候補だ。

奇想天外なボケが光るからし蓮根、とぼけたキャラクターが魅力的なたくろう、圧倒的な勢いでボケを連発するインディアンス、歌舞伎調のツッコミが印象的な東京ホテイソンなどがそれに続く。

 ◇

2016年までの『M-1グランプリ』では、決勝でネタを披露する順番が事前に決められていたため、それを元にして展開を予想する楽しみがあった。

だが、2017年には「笑神籤(えみくじ)」という新しいシステムが導入された。これは、くじ引きによって次にネタを披露する芸人をその場で決めていくというもの。いつ指名がかかるか分からないし、指名されたら心の準備をする暇もなくすぐに舞台に上がってネタを演じなくてはいけない。出場する芸人にとっては過酷なシステムだ。

今回もネタ順は「笑神籤」で決めることになっている。このシステムが導入された理由の1つとして「敗者復活組が有利になることを防ぐ」というのがあると思う。

2002年から2016年までの『M-1グランプリ』では、敗者復活組が最後に登場してネタを披露することになっていた。敗者復活組は当日行われる敗者復活戦で一度ネタを披露しているため、体が温まっている上に、最後に出てくるので観客の期待感も高まっている。そのせいで敗者復活組は点数が高くなりがちで、2007年以降は6大会連続で敗者復活組がベスト3に入り、最終決戦に進んでいた。

このように1組だけが圧倒的な優位に立ってしまう状況を是正するため、2017年大会では敗者復活組もほかのファイナリストと同列で「笑神籤」で選出されることになった。これによって「公平感」が演出され、見る側はよりフラットな目線で個々の漫才を楽しめるようになった。

 ◇

とはいえ、ネタ順が決まっていないので、当日の展開を予想するのは難しい。基本的には、「場慣れしている決勝経験組」と「新鮮さのある初決勝組」の対決という構図があり、そこに敗者復活組がどう絡んでいくのか、というのがポイントになる。

率直に言うと、実力や面白さではファイナリストの間にそれほど大きな差はない。勝敗は当日の空気で決まる。その時、その瞬間に一番面白いのは誰なのか。生放送でぜひ見届けてほしい。

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