「釣って」「食べて」二度おいしいといわれるアウトドアレジャー・釣り。近年、若者や親子連れにも人気急上昇だ。
今回、料理動画メディア「Tasty」の釣り・料理対決番組の収録をハフポストで取材。
挑戦者は、人気5人組男性アーティストDa-iCEの大野雄大さん。釣り歴約10年で釣り番組にも多数出演しているガチ勢だ。対するは、今年のアングラーズアイドル(※)の西村美穂さん。何回か釣りに行ったことがあるものの未だ船では一匹も釣れたことはなく、今回こそ、と意気込む。
釣り・料理対決を通して、二人が考えたこととは?
先に真鯛を釣ったのは…
天気は快晴、波も穏やかな絶好の釣り日和の中、二人が乗った釣り舟が神奈川県の金沢八景から出航した。今回の釣り対決の獲物は「真鯛」だ。真鯛は釣るのが比較的難しく、ベテランの釣り人でも一匹も釣れない日もあるという。
ライフジャケットを着用し出航してから約1時間、釣りポイントに到着。慣れた手つきで釣り糸を垂らす大野さんに比べて、西村さんは緊張気味だ。
しばらくして大野さんにアタリがあったが、なんと高級魚のトラフグだった。しかし今回の対決では、「真鯛」を釣った数で勝敗が決まるため、他の魚はカウントされない。
大野さんがトラフグを釣ったすぐ後に、西村さんにもアタリが。網ですくい上げると、キラキラと光る真鯛が。なんと、意外にも真鯛を先に釣ったのは、初心者の西村さんだった。
その後、大野さんに続々アタリがあり、真鯛3匹、イサキ1匹を釣り上げた。対する西村さんも2匹目の真鯛をゲット。
結果は、大野さんが真鯛3匹、西村さんは真鯛2匹。3対2で大野さんが勝者となった。
最後に釣り舟・三喜丸の船長 斉田正道さんより、「神奈川県では、20㎝以下の真鯛は釣れても放流することになっているんです。東京湾に魚を増やしていきたいですね」と海の資源を守ることの大切さが説かれた。
さっぱりの真鯛とコッテリのバターが絶妙
陸に戻り、釣った真鯛を調理する料理対決がスタート。
挑戦するメニューは、大野さんが真鯛のムニエル、西村さんが真鯛のパスタだ。大野さんは包丁さばきも手慣れたもので、素早く真鯛を3枚におろす。一方、西村さんは真剣な眼差しで包丁を握り、家で練習した成果を見せる。
こうばしい香りが会場に立ち込める中、およそ20分ほどで料理が完成。
審査員は、Tasty編集部員2人と船長の斉田さん。結果は、大野さんが2票(Tasty編集部員1人と斉田さんが投票)、西村さんが1票(もう1人のTasty部員が投票)を獲得。2対1で、大野さんが作った「鯛のムニエル」が勝利した。
「自分の船で釣ってもらった鯛だからどちらも特別おいしいんだけど、味が濃いめでパンチがある大野さんの方がおいしかったかな」(斉田さん)
対決を終えて
釣り・料理対決を終えて、二人に話を聞いた。
──今日の釣り対決のハイライトを教えてください。
大野雄大さん(以下、大野):ラストの一投ですね。2.2キロの真鯛が釣れました。それまであまり釣れなくて「これはまずいぞ」と思って焦っていたら、最後にドカンとのってくれました!
西村美穂さん(以下、西村):全部がハイライト。船で魚を釣ったことがなかったので、釣れてよかったです。大野さんの釣り方を参考にしながら、アタリを感じたときは「釣れた!」と思えてすごく楽しかったです。
大野さん:素晴らしい。しかも初めて釣った魚が真鯛なんて、縁起がいいですね。
──料理対決は大野さんが2対1で勝利しました。
大野さん:意外でした。船長さんは海の男なので、「きっとパスタをがっつくほうが好きなんじゃないかな」と思っていたんです。僕の料理の味付けは焦がしバターでパンチが強かったので、「そっちか」と。
西村さん:魚をさばくことが不安で仕方なかったので、ちょっと手こずりましたがちゃんと練習しておいてよかったと思いました。
大野さん:めちゃくちゃえらいじゃないですか。西村さんの料理、おいしかったです。パスタの味が濃すぎてしまうと鯛の上品な旨味がわかりにくくなってしまうかな、と思ったんですけれど、クリームソースの優しい味付けだったので鯛の本来の味もしっかりとわかりました。ただ、骨は3本くらい入っていましたけれど(笑)。
西村さん:大野さんの料理にも入っていました(笑)。
大野さん:あちゃ(笑)。
年齢・職業問わず仲良くなれる
──釣りの魅力はどういうところだと思いますか?
西村さん:「つながりが増える」というかコミュニケーションですかね。周りの人達が「こうしたらいいよ」と教えてくれるんです。
あと、いろいろ考えるところ。釣りって何にも考えなくてもいいのかと思っていたんですけど、気温とか潮の流れとかいろいろ考えるんですよ。没頭できるのもいいですね。
大野さん:コミュニケーションもそうですが、僕はコミュニティもすごく素敵だと思っているんです。たとえば、会社にも釣り好きな人が集まるコミュニティがあります。僕が知っている限りでもたくさん釣り部があって、スケジュールが合ったら一緒に釣りに行く。
そこでは初めましての方もたくさんいるけれど、年齢、職業問わず「釣りが好きだから」というだけで仲良くなることができます。自分が釣った魚を料理して食べたり、友達に振る舞ったりしてさらに楽しい時間になる。釣りのすごく良いなと思うところですね。
釣り人はゴミに対する意識が高い!?
──釣りのマナーについて気づいたことや、伝えたいことはありますか。
西村さん:挨拶です。初心者だと助けていただくことが多いと思うので、そのたびにちゃんと感謝の気持ちを伝えることが一番大切だな、と思います。相手は自分の時間を犠牲にして教えてくれているわけですし、そこで「ありがとう」と素直に言えたら、「また教えてあげよう」と思ってくれるかもしれないですよね。
大野さん:迷惑をかけないことですかね。地球環境や一緒に船に乗っている人や船宿さんに対してもそうです。たとえば、イカを釣ったときは、墨を吐いたらすぐに水をかける、とかゴミを持ち帰るとか。船で出るゴミって、すごくたくさんあると思うんです。ご飯のゴミや仕掛けが入っているビニール袋とか。
コロナ禍になってからは「感染症対策もあるので、ゴミは持ち帰ってください」という船宿がほとんどになって、ゴミに対する皆さんの意識が高くなったのかな、と感じます。ビニール袋を1つ多く持ってきたりする人も増えました。
西村さん:「みなさんゴミに対する意識がすごく高いんだな」と、いつも感銘を受けてます。街なかにゴミが落ちていても、拾わない人がほとんどじゃないですか。でも釣りをする人たちは、船上のゴミを絶対に拾って帰るし、「これはちゃんとここに捨てなよ」と声をかけていただくことも多くて。
私みたいにこれから釣りを始める方は、そういうマナーをわかっておかないと恥をかくと思うので、「釣り人さん達は本当にゴミに対する意識が高い」ということを覚えておいてほしいと思います。
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今回、大野さんと西村さんがかぶっているキャップは、釣用品工業会らが推進するLOVE BLUE事業の釣りマナー啓蒙活動「てはじめにマナー」のスペシャルグッズ。ステッカーも釣用品店などで目にすることができる。
※「Tasty」動画はこちら
撮影/西田香織