プラ容器、もう使い捨てなくていい。日本初上陸のLoopがすごい「3つの理由」

利便性が高く、商品もおしゃれ。エコとは関係ない動機で使い始めたら、自然と「プラごみ削減」に繋がっているというサービス。Loopは日本の消費を変えるか。
Loopの容器
Loopの容器
Loop Japan

環境負荷が問題になっているプラごみ。しかし、いざ「プラごみを減らそう」と思っても、今やプラスチックで包装されていない商品を見つける方が一苦労だ。特に、スーパーに並ぶ食品や日用品には、その多くに使い捨てのプラ容器が使われている。後ろめたさを感じながらも、仕方なく買い物かごに入れる人も少なくないのでは…

しかし今後は「使い捨てなくていい選択」が主流になっていくかもしれない。

2021年春、アメリカ発の循環型ショッピングプラットフォーム「Loop(ループ)」が日本に上陸する。従来の使い捨てのプラ容器に代わって、ガラスやステンレス製の「繰り返し使える容器」で商品を販売し、容器を回収・再利用することで、ごみを減らすサービスだ。

ECモデルの仕組み
ECモデルの仕組み
Loop Japan

 「手間がかかる」「見た目がダサい」など、ネガティブなイメージもある従来のリサイクルやリユース、エシカル消費。しかしLoopはこうしたイメージから一線を画す。

利便性が高く、商品もおしゃれ。エコとは関係ない動機で使い始めたら、「プラごみ削減」に繋がっている。普段は環境問題にそこまで意識を向けられない人にこそ、おすすめしたいLoopの魅力を紹介する。

Loopのここがすごい。3つのポイント

ECで注文すると、こんな専用バッグで届く
ECで注文すると、こんな専用バッグで届く
Loop Japan

1. エコだけど頑張らなくていい

牛乳パックは、洗って、切り開き、そして乾かして…。リサイクルは大切だと分かっていても、忙しい毎日ではそんな小さな手間でもなかなか大変だ。

そんな中、Loopが目指すのは「消費者に我慢や負担を強いないこと」。

空き容器は洗浄・分解する必要はない。

回収の方法もシンプルだ。ECで注文した場合は、届いたときに入っていた専用バッグに再び入れて、宅配業者を呼ぶだけ。ダンボールなどの梱包材も不要だ。

スーパーで買った場合は、買い物のついでに、店舗内に設置された回収ボックスに返却するだけでいい。

Loop Japan代表のエリック・カワバタさんはこう話す。

「もともと日本には、分別やリサイクルに真面目に取り組む人が多いと思います。だから、身のまわりに不便じゃない選択肢さえあれば、もっとエコな選択ができるようになると思うんです。その選択肢をLoopが提供したいと考えています」

2. とにかく容器がおしゃれ!

ロッテ キシリトールガムのLoop容器(※プロトタイプ)
ロッテ キシリトールガムのLoop容器(※プロトタイプ)
Loop Japan

Loopの容器は、従来の使い捨てのプラスチック容器に比べて、高級感があり、インテリアにも馴染みやすいのも特徴だ。

「使い捨て容器ではないため、容器はメーカーの”資産”となります。そのため、メーカー側もお金をかけ、耐久性が高く、デザイン性の優れた容器を作ることができるんです」とカワバタさんは話す。

実際に、デザイン性の高い容器を目的にLoopを利用するユーザーは多いという。

アメリカの利用者向けに「Loopを利用する理由」という意識調査をしたところ、最も多かった回答が「利便性」で、2位には「パッケージデザイン」が挙がった。最も多いと想定されていた「家のごみが減ったから」という理由は、実際は3位だった。

カワバタさんは「『自分が欲しいもの、便利だと思うものを使っていたら、エコにも繋がっていた』というのが、サステナブル(持続的)にサービスを使ってもらう秘訣なのかなと考えています」と結果を受け止める。

こうした「付加価値」が評価され、海外の利用者は4万5000世帯に達しているという。

ちなみに、容器には環境負荷に関する基準も設けられている。最低でも10周以上使用できることや、リサイクルのしやすさ、製造・使用過程でのCO2排出量などがガイドラインに定められているという。メーカー側が、そうしたガイドラインをもとに容器を開発する。

3. 今後は、「IoT」も取り入れた次世代型容器にも注目

繰り返し使える容器ボトルは、さらに広範な可能性も秘めている。

カワバタさんは、容器にIoTを取り入れるなど次世代の構想も明かす。

たとえば、調味料の容器にIoTチップを入れて、アプリと連動させる。賞味期限が近づくと通知してくれたり、おすすめレシピを教えてくれたり、はたまた「塩分の摂り過ぎ」をお知らせしてくれたり。付加価値のアイデアは尽きない。

また、空き容器の回収場所を駅やオフィスなどの生活圏内に増やしたり、世帯単位へのサービス展開だけではなくビルや地域単位で展開をしたりと、さらにアクセスを高めていくことも視野に入れているという。

味の素の調味料「ほんだし」「コンソメ」「丸鶏がらスープ」の容器(※プロトタイプ)
味の素の調味料「ほんだし」「コンソメ」「丸鶏がらスープ」の容器(※プロトタイプ)
Loop Japan

Loopとは?

Loopは、アメリカのベンチャー企業・テラサイクルが2019年から手掛けるサービス。アメリカ、フランス、カナダ、イギリスに続く5カ国目として、日本でサービスを開始する。

仕組み自体はシンプルで、昔ながらの「牛乳配達」のビジネスモデルからアイデアを得たものだという。

利用者はECかスーパーで、Loopの商品を購入する。中身を使い終わると、Loopが空き容器を回収し、洗浄。メーカーは返却された容器に、再び中身を詰めて、出荷する。Loopが消費者とメーカーをつなぎ、容器を循環させる役割を担う。

SDGsへの取り組みが急がれる今、企業も次々とLoopに参入している。海外では、食品や日用品などを中心に200以上のメーカーが参加し、取り扱う商品数は500を超える。日本では、味の素やキリンビール、資生堂など、食品や日用品メーカーを中心に、25社が参加を表明しているという。

ECでは、先着の5000世帯を対象にする。スーパーでの展開は、まずは首都圏のイオン19店舗で実施する予定だという。

日本での展開に期待が高まるLoop。果たして、日本の消費をサステナブルに変えていく起爆剤となるだろうか。

注目記事