【多数の応募をいただき、募集を締め切りました。当選者様にはメールでご連絡しております。ありがとうございました。】
今年の7月、Twitterのリツイート機能を開発したエンジニアが、その発明を「後悔している」と吐露したことが、大きな話題になりました。
「弾をこめた銃を4歳児に持たせてしまったのかもしれない」。
彼はそう語っています。
SNSは指先一つで「共感」を表明したり広げたりできる便利なツールだけど、だからこそ、人々の衝動を加速させ、怒りを増幅させてしまうところもあります。
どうしたら、もっと心地よいテンポで、メッセージを発信できるのか?
どうしたら、もっといい距離感で、人の言葉を受け止められるのか?
ネットメディアのハフポスト日本版は、みなさんと一緒に考えてみたいと思っています。
200人で、アートを「二度見する」。
補助線にするのは、「二度見する」というキーワードです。
誰かの声に、作品に、アクションに、衝動的に反応する前に、一度目を離して、もう一度見る。そうすることで、他の人の意見や自分自身の声に、もう少しゆっくり向き合えるのではないか。
用意したのは、かつて賛否両論を巻き起こした現代アート作品(作品名は当日まで秘密)です。当日は定員200人の早稲田大学会場で、みんなで一緒に作品を鑑賞します。
「面白い」「意義深い」「不快だ」「ざわざわする」…
色々な感想があると思います。
初めて見る時と、二度見した時とで、自分の中にどんな変化が起きるでしょうか。他人の感想を聞いて、自分の見え方は変わるでしょうか。
ゲストとしてお迎えするのは日本テレビ系の情報バラエティ番組『スッキリ』のコメンテーターとしても知られる日本文学研究者のロバート キャンベルさん。
日本の近世・近代の「むかし」の文学作品を「いま」に読み解くキャンベルさんは、まさに時代を超えた「二度見」を実践してきた方でもあります。
キャンベルさんと以下のようなポイントでトークをしながら、「二度見」体験を深めていきます。
・文学やアートを見る時は、インスピレーションが大事なの?
・作品そのものの魅力と、時代のコンテクストはどんな風に結びつけたり切り離したりするべき?
・文学やアートは、たとえ誰かを傷つけたとしても問題提起していくべきなの?
・SNS時代における「表現の自由」って一体何だろう?
*イベントへのご参加応募はこちらから(記事の一番最後にもフォームがございます)
※募集は締め切りました。多数のご応募ありがとうございました。
共感できなくても理解はできる。それでもいいじゃないか。
さて、少し壮大な言い方になるかもしれませんが、「二度見する」というのは、分断を乗り越えるための鍵を探ることでもあります。
キャンベルさんはかつてハフポストの番組で、「共感はとても大事な感情だけど、『そうだよね』と思えない人たちとの間に”殻”を作って、コミュニケーションを閉ざしてしまうもの」だと語っていました。
誰かと共感し合って同じ“殻”の中にいることは心地いいけれども、一度“殻”に入ってしまうと、外にいる人たちの声はどんどん聞こえなくなってしまう。
この“殻”をどんどん分厚く強固にしていくのを、SNSが助長している側面もあります。世界のあちこちで「分断」という言葉が叫ばれるゆえんではないでしょうか。
その時、「共感は難しくても理解はできる」という人を増やすのが大事なんだ、とキャンベルさんはいいます。
ジェンダー、人種、LGBT、環境問題、イデオロギー…。
発展途上のイシューであればあるほど、色々な立場から、色々な意見が飛び出します。
違っているとわかった時、“殻”に閉じこもるのか、“殻”の外にいる人を攻撃するのか、あるいは、「こんな考え方もあるんだ…」と立ち止まるのか。
衝動的に決めつけてしまう前に、「あれ、ちょっと待てよ」と二度見する。
その余裕と距離感こそが、硬い“殻”を少しほころばせ、分断を埋めていく糸口になるかもしれません。
ネットやSNSを少し離れて、皆さん一人一人とお目にかかれることを楽しみにしています。
12月7日、早稲田大学で。
開催概要
【日時】 2019年12月7日(土)午後2時〜午後4時(開場午後1時30分)
【場所】早稲田大学小野記念講堂(〒169-0071 東京都新宿区戸塚町1−103)
【参加費】1000円
【定員】 200人
【ゲスト】 ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)
【司会】竹下隆一郎(ハフポスト日本版編集長)
【企画協力】会田大也さん(ミュージアムエデュケーター)
【主催】ハフポスト日本版
※告知開始から多数の応募をいただき、申し込み締め切りを早めました。
(UPDATE: 11月15日 18:00)
ロバート キャンベルさん プロフィール
日本文学研究者。国文学研究資料館長。
近世・近代日本文学が専門で、とくに19世紀(江戸後期~明治前半)の漢文学と、漢文学と関連の深い文芸ジャンル、芸術、メディア、思想などに関心を寄せている。テレビでMCやニュース・コメンテーター等をつとめる一方、新聞雑誌連載、書評、ラジオ番組企画・出演など、さまざまなメディアで活躍中。近著に『井上陽水英訳詞集 』(講談社)。