豪の保護区で「コアラ抱っこ」が禁止に。野生生物との自撮りはもう古い?

オーストラリアならではの特別な体験「コアラ抱っこ」。テイラー・スウィフトらも訪れ写真を撮っていましたが、保護区が中止を発表しました
ローンパインコアラ保護区のコアラ(2005年4月3日撮影)
ローンパインコアラ保護区のコアラ(2005年4月3日撮影)
TORSTEN BLACKWOOD via Getty Images

オーストラリア・クイーンズランド州の「ローンパインコアラ保護区」が7月1日、「コアラ抱っこ」を終了すると発表した。

ローンパインは1927年にできた世界初で最大のコアラ保護区で、コアラ抱っこは来園者に人気の体験プログラムだった。

アメリカの人気歌手テイラー・スウィフトさんも、ここを訪れてコアラを抱いている。

ローンパインコアラ保護区は、人気プログラムを終了させる理由について「抱く以外のもっと有意義な形でコアラと長い時間を過ごしたい、という来園者の強い要望に応えたもの」と説明している。

今後は抱っこに代わり、より有意義で長い時間をコアラと過ごせる新体験「クローズアップ」を導入するという。

リンドン・ディスコム園長は、「国内外の来園者の間で『オーストラリアの野生動物を間近で見たいが個人的な体験をしなくてもいい、コアラが最善の状況で食事や睡眠、くつろいでいる様子を知りたい』という変化が起きていることを嬉しく思います」とコメントしている。

また、保護区は動物の福祉について「動物たちのメンタル面や肉体面、感情面でのウェルビーイングは、すべての活動で最優先される」と述べている。

ローンパインコアラ保護区を訪れたテニスのペトラ・クビトバ選手(2012年12月28日)
ローンパインコアラ保護区を訪れたテニスのペトラ・クビトバ選手(2012年12月28日)
Chris Hyde via Getty Images

オーストラリアでコアラ抱っこが認められているのは、クイーンズランド、南オーストラリア、西オーストラリアの3州のみで、他州では禁止されている。

クイーンズランド州では、コアラを1日30分以上、1週間で合計180分以上触れられないと法律で定めている。

コアラ抱っこは、オーストラリアならではの特別な体験だが、動物愛護団体「ワールドアニマルプロテクション」はコアラにストレスを与えるとして、禁止を求めてきた

同団体はローンパインコアラ保護区の決定を歓迎。キャンペーン担当のスザンヌ・ミルソープ氏は 「本来いるべき場所で野生動物を見ることこそが、ワイルドライフ・ツーリズムの未来です。観光客は、時代遅れでストレスの多い自撮りから距離を置くようになっています」とコメントしている。

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