ハリー・ベイリーが主役アリエルを演じる、実写版のディズニー映画『リトル・マーメイド』では、歌詞も時代の変化を反映した内容になっているようだ。
作曲家のアラン・メンケン氏が、オリジナル版の歌詞を変更したとバニティ・フェアのインタビューで明かした。
修正されるのは「キス・ザ・ガール(Kiss The Girl)」と「哀れな人々(Poor Unfortunate Souls)」だという。
両曲を作曲したメンケン氏は「『キス・ザ・ガール』の歌詞の一部を変更します。どんな形であれ(エリック王子がアリエルに)性的暴力をふるうような内容に、人々は敏感になっています」と説明している。
「哀れな人々」で修正されるのは、「女性は黙っていた方がいい」とほのめかす部分だという。
「余計なことは言わない方がいい、と幼い女の子たちに感じさせかねない歌詞を変更しました。明らかに、アースラが声をあきらめさせるためアリエルを操ろうとしているものではあるのですが」
1989年に公開されたオリジナル版のアニメは、人間のエリック王子に恋した人魚のアリエルが、海の魔女のアースラと契約して人間になり、王子に会いに行くというストーリーだ。
この時、アリエルは3日以内にエリックとキスをしなければ人魚に戻り、アースラのものになるという約束をしている。
「キス・ザ・ガール」は、アリエルを心配したカニのセバスチャンが、エリックにキスをするよう促す場面で使われ、歌詞では「あの子の目を見て、お話やめてキスして」「何も言わなくていいさあ早くキスして」というセリフがある。
アリエルのためを思ってセバスチャンが歌う曲ではあるが、セクハラや性暴力を告発するMeToo運動などを受け、相手の同意なしにキスをする行為は、現代では性暴力と捉えられるようになっている。
一方「哀れな人々」は、アースラがアリエルに声と引き換えに人間になる契約を持ちかける場面で使われる曲だ。
アースラは、人間の男たちに好まれるのは「黙ってうなずき、男の後ろを歩く」女性であり、「会話はムダ。紳士たちに嫌われる。何もしゃべらず、静かにしてて。恋人欲しいなら」と歌う。
これらの歌詞が、実写版でどう変わるかについては、まだ明らかになっていない。
実写版『リトル・マーメイド』では、歌詞の変更に加えて、アリエルが王子に恋して人間になるという設定自体にも変化がありそうだ。
主役のアリエルを演じるハリー・ベイリーは実写版について「アリエルがただ男の子のためだけに海を出るという視点を変えた」とエディションのインタビューで語っている。
「それよりもっと素晴らしい内容になっています。彼女自身や、彼女の目的、自由、人生、何を求めているかを描いています」
ミュージカル映画『シカゴ』などでメガホンを取ったロブ・マーシャル氏が監督を務めた実写版『リトル・マーメイド』。日本では6月9日に公開予定だ。