統一地方選挙の後半戦は4月21日、投開票された。このうち、東京都の新宿区議会議員選挙(定数38)に立候補していた作家の李小牧(り・こまき)さんは1036票を得たが、当選ラインに400票あまり届かず落選した。
4年前に続き、2度目の落選となった。
■民主主義への参加訴える
李さんは中国・湖南省生まれの58歳。中国でバレエダンサーや文芸誌記者などとして働いたあと、日本では新宿・歌舞伎町で主に外国人観光客に風俗店を案内する「歌舞伎町案内人」として活動していた。
今回の選挙では「少数派の代表になる」として、繁華街の24時間営業の実現や、外国人住民に対して地域の防災訓練への参加を促すことなどを公約に掲げていた。
また選挙活動では、民主的な選挙がない中国出身ということもあり、若い世代の有権者に「私に投票をしなくてもいいから、選挙に行って欲しい」などと、選挙に参加できる権利を放棄しないよう呼びかけていた。
■意識失い、救急車で搬送
李さんは21日、新宿区内の事務所で支援者らとともに吉報を待ったが、中間発表の時点で他の候補に差をつけられる苦しい展開となった。
票の確定を待たずに「もう待つ必要はありません」と結果を悟ると、「本当に申し訳ありません。足りないものがありました」と敗戦の弁を述べた。
最終的な得票は1036票。前回・4年前の1018票からも伸び悩んだ。選対関係者によると、特定の支持政党などを持たない「浮動票」が他の候補者に流れたとみられる。
4年後の次の選挙については「分からない」と話した。
アクシデントが襲ったのはその後だった。筆者が敗因について質問。李さんが答えようとしたところ、ろれつが回らなくなり、そのまま気を失った。
事務所にいた人たちに介抱され、意識は数分後には回復したが、救急車で搬送された。
検査の結果、異常は無く、入院せずに帰宅した。
■一夜明け...
投開票日から一夜明けた22日、李さんはハフポスト日本版の取材に応じた。
事務所に訪れた李さんは、前夜と違って顔色も良く、すっきりとした表情を見せた。記者を見つけると「昨日の質問に答えます」と口を開いた。
作家としての知名度を生かした選挙活動を展開してきた李さん。敗因について「地道に、ちゃんと、空中戦ではなく各地区で頭を下げて行くべきだったと反省している」と語った。
また、突如意識を失った理由については、当日あまり食事を摂っていなかったことに加え「結果を見て、前回より大幅に少ないと思ってしまい、恥ずかしくなってしまった。一瞬で頭に血が上ってしまった」と明かした。
その上で、落選した直後には「分からない」とした今後については、4年後の新宿区議選に3度目の立候補をする意向を明らかにした。
「今回の選挙には負けました。でも人生の全てに負けたわけではありませんから。また失敗するかもしれません。でも、やります」。涙を拭うことなく話しきった。
■そのほかの海外出身候補
また現職の地方議員では、つくば市議にカナダ出身のヘイズ・ジョンさんらがいる。