介護施設選び、見学は何件するべき?最新調査で見えてきた介護の現在地【LIFULL】

老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」は「介護施設入居実態調査 2025」を実施。介護施設への入居に関して、不安なことや重要視すること、入居前に想定していなかったことなどを聞いた。

今年で「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になるなど、高齢化が進むなか、介護サービスへのニーズがますます高まっている。

2024年4月に施行された介護報酬の改定により、訪問介護事業は大きな打撃を受けているが、今後、要介護状態になった場合に介護施設への入居を選択する人は増えていくことが見込まれている。高齢者の生活スタイルや嗜好の多様化に伴い、介護施設も多様化に向かっていくと予想されるなか、どういった条件が施設選びの「決め手」となるのだろうか。

LIFULLのグループ会社であるLIFULL seniorが運営する老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」は、「介護施設入居実態調査 2025」を実施。調査結果を一部抜粋して紹介する。

【調査概要】

調査期間:2024年12月13日〜2024年12月17日

調査対象:直近1年以内に介護施設、高齢者住宅(※)に入居した家族、親族がいる人1873人

調査方法:インターネット調査

※介護施設:介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、軽費老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院

老人ホーム探し、最も多い相談相手は「ケアマネ」

老人ホームを探すときに利用した方法
老人ホームを探すときに利用した方法
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家族・親族の入居する老人ホームを探す際に利用した方法を聞いたところ、全体の44.2%が「ケアマネジャーに相談」と回答し、もっとも多い結果となった。次に多い回答は「インターネットで調べた」(35.6%)だった。個人の性格や介護ニーズを知っている一番身近な専門家であるケアマネージャーに、老人ホームについても相談する人が多いことがうかがえる。

しかし、2023年の調査と比較すると、ケアマネジャーに相談する人は9.1ポイント減少し、インターネットで調べる人は3.9ポイント増加している。メディアで介護が取り上げられることが多くなりつつあり、積極的にリサーチをする人の増加傾向が見て取れる。

老人ホームの見学件数
老人ホームの見学件数
LIFULL

また、家族、親族の老人ホームを探す際に問い合わせや見学を実施し、その時期を覚えていると答えた人に、入居するまでに見学した老人ホームの件数を尋ねたところ、最も多かったのは2ヶ所で26.7%。3か所以上見学に行った人は合計で48.3%に達し、2023年の合計値(23.9%)を24.4ポイントも上回る結果となった。

「すぐに入居できるか」を重要視する声も多数

老人ホームを探す時に金額と立地以外で重視したもの
老人ホームを探す時に金額と立地以外で重視したもの
LIFULL

老人ホーム探しにおいて重視するポイントとして、基本的な条件である金額と立地以外で聞いたところ「スタッフの質・雰囲気」が32.4%で最も多かった。

次いで多かった回答が「すぐに入居できるか」(32.2%)。老人ホーム探しで不安に感じたことについて、全体の27.0%が「急いで探す必要があった」と回答していることからも、迅速な対応ができる介護施設に多くのニーズが集まっているようだ。

介護において、急遽、入居施設を探さなくてはならない場合は少なくない。例えば、入院後に身体の状態により自宅に戻れなくなり、退院日までに介護施設を探さなければならないということもある。実際、そうした現状を裏付けるように、介護施設探しに着手した時期として全体の31.4%が「入居する半年以内」と回答している。

老人ホーム入居前に想定していなかったことTOP5
老人ホーム入居前に想定していなかったことTOP5
LIFULL

続いて、入居前に想定していなかったポイントを聞くと、最も多かった回答は「想定していたよりもお金がかかる」(24.2%)だった。

介護施設のパンフレットに記載された月額費用は多くの場合、最低限の居住費、管理費のみとなっており、その料金体系は複雑になっている。そのため、介護サービスやオプションサービスを加えた場合どのくらいかかるのか、入居の際に念入りに確認する必要がある。また「面会が制限され、なかなか会えない」も20.4%で第2位にランクインしている。

介護施設選び、見学は何件するべき?

「LIFULL介護」編集長の小菅秀樹さんは、調査結果を振り返り「急な入院や体調不良により家族を老人ホームへ預ける必要性が生じ、時間に追われ焦って探す方は少なくありません。その結果、予算内で空きがある部屋を見つけ次第、即決するケースもあります。しかし、入居後にミスマッチが生じ、生活の質が低下したり、別の老人ホームへ住み替えることもあります。そのため、老人ホームを選ぶ際、最低でも3か所を見学し比較することを推奨しています」とコメント。

さらに「パンフレットでは分からない職員の対応や雰囲気は重要なポイントです。見学時には、職員が見学者や入居者にどのように接しているかを確認することが大切です。また、食事の内容や家族の面会方法も、入居後の満足度を高める重要な要素です。食事が入居者の口に合うか、面会がどのように行えるのかについても、事前によく確認しておくと安心です」と明示した。

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