セクシュアル・マイノリティ(LGBT)は、全体の8.9%。
多くの先進国で認められている同性婚は、78.4%が「賛成」。
「電通ダイバーシティ・ラボ」が1月10日、全国20〜59歳の約6万人へのアンケート「LGBT調査2018」を発表した。
11日に電通ホールで説明会が開かれ、電通ダイバーシティ・ラボのリサーチャー吉本紗子さんは、今回のアンケート結果について「若年層の方がLGBT層への理解、認知が深い」とコメントした。
日本のLGBT理解はどう進んでいるのか。法整備へのみんなの関心は? 最新のアンケート結果を、吉本さんの分析とともに紹介する。
LGBTは8.9%、前回調査より増えた理由は?
2018年の調査によるとセクシュアル・マイノリティ(LGBT)に該当する人は、8.9%だった。11人に1人の割合だ。
2012年調査では5.2%、2015年調査は7.6%だった。
なぜ前回よりも増えたのか。主な要因は、LGBTに関する一般の理解が進んだことや、アンケート回答者の若年層の構成比率が増加したことにあるとみられる。
吉本さんは、「ここ数年でLGBTに関する情報がすごく増加している。それによって一般の認知、理解が広まったため、自分の性について考える機会、ならびに正しく向き合う機会が増えたのが一つの要因と考えている」と分析した。
なお、電通の調査では、セクシュアリティを「身体の性」、「心の性」(性自認)、「好きになる相手の性」(性的指向)の 3つの組み合せで分類。
独自の「セクシュアリティ・マップ」に基づき、ストレート(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する人)と答えた、上図の2と10の人以外をLGBT層と定義している。
「LGBT」の浸透率は大幅に上昇
「LGBT とはセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつということを知っていますか」という質問に対して、2018年の調査では68.5%が「知っている」と回答。
2015年調査の37.6%から大きく上昇しており、LGBTの認知の高まりがうかがえる。
特に、女性が70.9%、20代の若年層が70.6%と、高い浸透率を示している。
この結果について、吉本さんは「若年層の方がLGBT層への理解、ならびに認知が深い」と指摘した。
同性婚は、78.4%の人が「賛成」
「多くの先進国で同性婚が認められ始めていますが、同性婚の合法化について、あなたのご意見を教えてください」という質問に対しては、「賛成」が24.1%、「どちらかというと賛成」が54.3%と回答。全体で78.4%の人が「賛成」となった。
男性(69.2%)よりも女性(87.9%)の方が、賛成が多い。
年齢別では、20代では87.3%で50代は72.5%。どの年代も「賛成」が過半数を超えているが、若年層ほど高い傾向が見られた。
なぜ若年層ほど「同性婚」を賛成する割合が高くなるのか。
吉本さんは、「LGBTという言葉の認知の浸透率や、正しい理解をしたい意向の傾向と、こちらの傾向が比例している。LGBT層の理解が進むほど、同性婚に対しても理解が進む傾向があるのかなと考えている」とコメントした。
東京都のLGBT差別を禁止する条例については、82.7%の人が賛成。全体の72.1%の人が「もっと法整備をすべき」と回答した。
職場、LGBTの54.5%が「サポート制度がない」
LGBTの働きやすい職場づくりは進んでいるのか。
LGBT当事者は、「あなたは、職場の同僚(上司、部下含む) に LGBT当事者であることをカミングアウトすることに、抵抗がありますか」の質問に、LGBTの50.7%が「抵抗がある」と回答した。
実際、「あなた、LGBT当事者であることをカミングアウトされていますか」の質問に対し、職場のみならず家族や友人も含め「誰にもカミングアウトしていない」と回答した人の割合は、65.1%だった。
「あなたが勤めている企業では、性の多様性に関してサポート制度がありますか」という質問には、「サポート制度がある」は17.3%に留まり、54.5%が「サポート制度がない」と回答した。
職場のサポート制度としては、同姓婚でも配偶者手当を支給するなどの福利厚生や、LGBTの理解を促進する社内イベント・勉強会の実施、トランスジェンダーも使いやすいトイレの設置などがある。
<事前スクリーニング調査概要>
調査対象:20~59 歳の個人 60,000 名
調査対象エリア:全国
調査時期:2018 年 10 月 26 日(金)~29 日(月)
調査方法:インターネット調査
<電通 LGBT 調査 2018 概要>
調査対象:20~59 歳の個人 6,229 名 (LGBT 層該当者 589 人/ストレート層該当者 5,640 人)
調査対象エリア:全国
調査時期:2018 年 10 月 26 日(金)~29 日(月)
調査方法:インターネット調査