ねえ
きみはいま、どんな顔をしてるの
なにがすき?
なにがきらい?
きみと離れて 7年もたっちゃったから、そんなことも ぜんぜんわからないんだよ
ごめんね
料理を生業にして、随分になるけれど きみのためにつくってあげられてないなあ
たまにね おしごとの最中にこっそりきみへの料理をつくってみたりするんだ
偶然に機会をもらって こんな文章を書き始めたのはね
おれは今でもきみのことが気になってるよって
こんなに離れておいて、なにをいまさらって言われるかもしれないけれど
愛してるよって言いたかったんだよ
その思いをどこかに残しておきたかったんだよ
きみが産まれてきてくれた そのおかげでいろんなことに気づくことができたんだ
きみが嬉しそうに見てる その先をいっしょに見てみると
月が美しく輝いてたり
珍しい形の葉っぱがあったり
面白い形の石が落ちていたり
見たこともない柱にとまっていたり
なぜか、隣の車両を見ているなと思ったら その先に おれ好みのきれいなおねえさんがいたこともあったよ
そんなちいさな喜びとか幸せみたいなものを感じられるようになったんだよ
ありがとう
10歳になったいまもきみはそんな風にいろんなものに目を向けられているかな?
勉強とか別にぜんぜん どうでもいいし、友だちとか100人できなくてもいいから
きみの きみだけの きみなりの大事ななにかを見つけて
それを丁寧に磨いてほしいなって思っているよ
そんな簡単にみつかるわけじゃないから
だから、たくさんのものに目を向けて
たのしんで よろこんで 慈しんで 欲しいんだよ
なんでかな こうやって、10歳のきみのことを考えていると、
自分が10歳にもどったみたいな 同級生みたいな気持ちになってくるよ
肩並べて背比べして 足の速さとか テストの点数とかで対決して...
いまどきは、なにで友だちと競ってるの? そういう雰囲気でもないのかな
すくなくとも、いじめとか そういうダサいことはしてないでね
いま、カッコつけとくと ちゃんと、いいことあるからね
海に流した、瓶に詰めた手紙みたいな この文章がいつか きみの目に留まるといいな
もし、読んだらさ
また、ふたりで散歩でもしようか
もう、照れくさいか
まあ、そう言わずに
これでも食べて機嫌なおしてよ