「フリーランス」と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
自由な働き方を選べるメリットがある反面、社会保障が整っていないことは以前から指摘されていました。そうした問題はこのコロナ禍を契機にますます顕在化し、最近ではとかく社会的な弱者としてメディアに取り上げられることも多い存在です。事実、現在日本政府が打ち出しているフリーランスを含む個人事業主への給付や融資の内容は、とても十分とはいえません。
しかし、もともと、自分の夢や理想のため、たくましく生きてきたフリーランスの中には、この困難な状況をなんとか打開しようと、前向きに動き続ける人たちがいるのも事実。
今回は、そんな2人の女性を紹介します。
歌って踊ってデザインできる「パラレルワーカー」
京都府在住、グラフィックデザイナーとして活躍しているやなめさんは、ボーカルスクールの講師であり、ステージに立つシンガーでもあるパラレルワーカー(まったく異なる本業を複数かけもつ人のこと)です。
もともとは音楽関連の企業に勤めていましたが、並行して行なっていた音楽活動に本腰を入れるため、退職を決意。しかしいきなり音楽だけで食べていくことは難しく、悩んだ末にたどり着いたのがランサーズでグラフィックデザイナーとして働くことでした。
「接客業などのアルバイトを選ぶ道もありました。でも、音楽を一番にしたかったから会社を辞めたのに、シフトが決まった仕事を選んでしまうと、急にステージの仕事が入っても対応できない。だから、ランサーズで仕事をすれば働く時間を自分で調整できるからいいな、と。自分にできる仕事ってなにかなと考えたときに、デザインかなと思いました」
しかし、デザイナーはまったくの未経験。昔から、絵を見たりするのは好きだったというやなめさんですが、専門学校などに通うわけではなく、Googleで調べたり、Illustratorのファイルを開いて構造を学んだりと、独学を重ねて少しずつ仕事を得られるようになったといいます。
「ステージに立ったりボーカルスクールで教えたりと、歌に関わる仕事をやっていますが、そこにもうひとつデザインの仕事があるというのが、私にとって『お守り』みたいなもので」
「音楽だけじゃなくて、デザインの仕事も好きなので、好きな仕事をふたつ掛け合わせてできているって、幸せだなって。以前は音楽の仲間たちに、デザインの仕事をしているのを内緒にしていたんです。『音楽が一番じゃないんだな』って思われるのが嫌で。でも今では堂々と言えますし、周りから『音楽とデザイン、両方やってるのがやなめなんだな』って言ってもらえるようになりました」
Webクリエイティブ経験10年超、経験豊富な「ルーキー」
福井県在住、Webクリエイターとして活躍している中川祐子さんは、約10年、会社員として現業を経験し、2019年から独立してフリーランスという生き方を選択しました。
会社員時代は、片道2時間の車通勤をしたこともあったといいます。
「日付が変わるまで働いて、翌朝は6時くらいに家を出たりと、ハードな環境ではありました。でもその会社で学んだことは多くて、Webクリエイティブの実務はもちろんですが、とても大事な考え方を教わったと思っています」
「失敗することはダメじゃなくて、とにかくチャレンジ。社長は『君たちがチャレンジできるチャンスを与えたい』とずっと言ってくれて。その言葉や仲間に勇気をもらって、どんどんチャレンジすることが怖くなくなりました」
さらなるスキルアップ、そして、よりクライアントの想いに応える仕事をしたいと考えたのが、フリーランスになるきっかけだったそう。会社員として11年、社会人になる以前と合わせて15年のキャリアを持って、経験豊富なルーキーとして、新しい一歩を踏み出しました。
フリーランス初年度は、働き方の試行錯誤を繰り返した1年だったと語ります。
「会社にいると決まったスキルしか使わないけど、フリーランスだと求められるものが相手によって変わるので、都度勉強が必要。どんどん成長しているのが自分で分かって楽しいです。ワクワクがとまらないくらい希望に満ち溢れていて、可能性が無限だなと感じています」
「フリーランス2年目になった今でも、ずっと初心者の気持ちでやっています。そうすればいろんな意見も取り入れられるし。すごいと思う方の真似もする。そういう気持ちは一生持ち続けて、成長につなげていきたいです」
新たな価値創造を支援する「レッツノート賞」
その働きぶりが多くの人からの支持を得て、やなめさんと中川祐子さんは2020年3月15日、ランサーズ株式会社が開催するフリーランスの祭典「Lancer of the Year 2020」で「その年もっとも自分らしい働き方を実践したフリーランス」として表彰され、加えて「レッツノート賞」が贈られることになりました。
レッツノートの特徴は、高処理能力・軽量性・長時間駆動・LTE対応、さらには衝撃に強い頑丈性やセキュリティの高さです。この機能をもって「組織に縛られないパラレルワーカー」であり「場所に縛られないテレワーカー」でもあるフリーランスが価値創造を行なうことに貢献したいという理念から、「Lancer of the Year」に「レッツノート賞」が創設されています。
もともと、営業職のビジネスパーソンが外に持ち出して落としたりしても壊れない、高性能モバイルパソコンとして登場したレッツノートは、デザインなどのクリエイティブワークにおいて使うイメージは薄いかもしれません。しかし、賞の授与とともに送られたレッツノートを実際に使ってみた2人は、違和感がなかったようです。
やなめさんは「Illustratorで作業をしていて、トラックパッドを使うときはオブジェクトを手で持って移動する感覚だったのが、レッツノートのホイールパッドでやってみると、視線を動かす感覚で操作ができました」とのこと。
中川さんも「まず物理的な軽さに驚きました。使ってみると、想像していたよりも圧倒的に処理が高速。複数のAdobeソフトやコーディング用のエディタ、調べ物のブラウザを同時に起動してもまったく問題ないんです」と語りました。
そして、レッツノート賞の目玉はこれだけではありませんでした。
「学びの機会を提供し、その成果をアウトプットしてもらうことで、支援をする当人のみならず、より多くの人々にも貢献したい」という賞の理念のもと、今回、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)(※)の約1,000ドルのチケットと、渡航費用、滞在費が送られたのです。
未来を変えるようなプロダクト・サービスに触れられる学びと刺激の多いイベントに、2人は胸を高鳴らせていました。
新型コロナが与えたフリーランスへの影響とは。
ところが……。開催6日前になって、SXSWは急遽、新型コロナの影響によって中止を発表。自分の力で仕事を得て、未来を切り拓いてきたフリーランスの2人でしたが、大流行する新型コロナには屈するしかありませんでした。
しかも、このパンデミックは2人の仕事にも影響を及ぼしました。やなめさんは、シンガーとしては全く仕事がなくなってしまったといいます。
「やはり、ライブハウスに大勢の人が集まれない状況ですし……。ボーカルスクールも、趣味でいらっしゃる会社員の生徒さんが多く、趣味で感染したなんてあってはならないので、お休みに。デザインの仕事は増えたり減ったりという状況です。店舗を閉めなくてはならないので、お知らせのチラシをつくりたいという依頼を急遽いただいたり」
中川さんも、次のように教えてくれました。
「例えばサイトに新型コロナに対するお知らせを出したいとか、時間のできた社長さんが、新規事業を考えたのでそのWebサイトをつくって欲しいとか、急な仕事を依頼いただくことが増えた印象です。ただ、自粛ムードの影響は受けると思いますし、コントロールできないものが多くなりました」
偶然の出会いが生んだ未来への可能性
新型コロナの影響を多分に受け、不安定な状況ながらも、やなめさんと中川さんは立ち止まらず、前に向かって動き始める道を選びました。100万人以上登録するフリーランスの中から選ばれたLancer of the Year 2020受賞者の6人のうちの2人として、そして、フリーランスに学びの機会を提供したいという、レッツノートの想いに応えるためです。
それぞれ京都と福井に住み、たまたま同じサービスを利用していて、たまたま同じ年代に活躍して、たまたま授賞式で出会っただけの2人。不思議な縁ですが、お互いの働き方へのリスペクトが生まれ、共同でWebサイトを立ち上げる計画を進行することになったのです。ミーティングも、自宅からオンラインで行なっています。
このWebページは、フリーランサーとしての2人のポートフォリオページ。
お互いの得意分野を知る中で、それぞれの良さをもっと世の中に発信したい、という思いからスタートしたといいます。シンガーとしてのやなめさんの魅力をより多くの人に知ってもらいたいという中川さんの気持ちと、中川さんの勤勉さとバイタリティ、そしてクライアントに貢献したいという想いを広めたいというやなめさんの気持ちが重なった結果でした。
新型コロナウイルスの影響にはピンチもあったが、それを少しでもチャンスに変え、自分たちの未来を切り拓くために。
転んでもただでは起きない2人の活躍は、これからも期待できそうです。