退役軍人の地方議員が、会議中にシャツを脱いだ。上半身を露わにして、胸元にある軍隊時代の傷跡を見せた。アメリカに広まるアジア系への人種差別に抗議するためだった。アメリカ・オハイオ州の地方議会の一幕が話題になっている。
■18歳のときにアメリカに移住。陸軍で20年間勤務していた
この男性はウエストチェスター郡区の理事会で会長を務めるリー・ウォンさん(69)だった。
シカゴの大学に通っていたとき、彼を日本人と間違えた白人から暴行を受けた経験をきっかけに、陸軍に20年間勤務。2005年からウエストチェスター地区の理事に選ばれている。
■「愛国心とは何かお見せしましょう」と言ってシャツを脱ぐ
新型コロナの感染拡大以降、アメリカではアジア系への人種差別が深刻になっている。
ジョージア州アトランタでは3月16日、マッサージ店3カ所で銃撃事件が発生し、8人が亡くなるという事件が起きた。そのうち6人はアジア系の女性であり、アジア系のヘイトクライム(憎悪犯罪)の可能性が生じている。
Vimeoに投稿された動画によると、ウォンさんは、それから約1週間後の23日の理事会で、以下のように発言した。
「「私に近づいて『アメリカ人に見えない』と言ったり『愛国心が十分にあるように見えない』と言ったりする無知な人々がいます。このことは私を本当に苛立たせました」
「私の愛国心に疑問を投げかける人々がいます。私はアメリカ人に見えないからです。彼らは、この顔に我慢ならないのです。私には見せたいものがあります。なぜなら、私は恐れていないからです。私は恐怖、脅迫、侮辱の中で生きる必要はありません」
このように発言した上でウォンさんは「愛国心とは何かお見せしましょう」と言って、背広とワイシャツなどを脱いで、上半身を露わにした。
そして起立して、胸元にある大きな傷跡を見せた。
「これが私の証拠です」「これは陸軍で勤務中にできた傷です」と彼は傷跡を指して言った。そして「これでも愛国者と言えませんか?」と議場のメンバーに問いかけた。
この後、再び服を着たウォンさんは「私は外を歩くことをもう恐れません。私たちはみんな同じで、みんな平等なのです」とアジア系への人種差別をなくなすように訴えた。