カナダ・バンフ国立公園でバックカントリーキャンプを楽しんでいたカップルが、ハイイログマ(グリズリーベア)に襲われて亡くなった。
この事故で死亡したのは、アルバータ州レスブリッジ在住のダグ・イングリスさんとジェニー・ガッセさんだ。ふたりはクマに襲われた後、助けを求める最後のメッセージを親戚に送っていたという。
おじのもとに届いたメッセージ
CBCによると、イングリスさんとガッセさんがクマに襲われたのはキャンプ5日目の9月29日夜だった。
イングリスさんのおじのコリンさんは、ふたりは双方向でメッセージのやりとりができるガーミンの衛星通信機inReachを使って旅の様子を報告していた、と同メディアに説明している。
クマに襲われた日、コリンさんのもとにはふたりから「目的地には到達していないが安全な場所でキャンプを設営している」というメッセージが届いたという。
「彼らはおそらく夕食を作っていて、自分たちは無事だと私たちに知らせたのでしょう」
しかし夜になってinReachで届いたのは切実なSOSだった。
「そのメッセージは『クマが襲撃、まずい』と書かれていました」
コリンさんは「その夜から今も悲しみが続いています」と述べている。
「通知が来て何か悪いことが起きているのはわかっているのに、詳しい情報がほとんどない状態でした」
対応チームが現地に向かった
バンフ国立公園の職員も、9月29日午後8時頃にinReachでクマに襲撃されたというメッセージを受信したとFacebookで報告している。
受信した職員は、野生生物に人間が襲われた時の対応に慣れた人でチームを編成して現地に急行。
気象条件からヘリコプターが使えず地上ルートで到着したのは30日の午前1時で、テントの近くでイングリスさんとガッセさんとふたりが連れていた犬が死亡しているのを発見したという。
テントの近くにはクマが1頭おり攻撃的な行動をとっていたため、公衆の安全を優先してその場で安楽死させた。
バンフ国立公園によると、2人を殺したと考えられているクマはこれまでに確認されていない個体で、この時期のクマからすると体脂肪が低かった。また死体の解剖から、25歳を超えたメスと推定された。
コリンさんによると、亡くなったふたりは大学時代からのパートナーで、年に2回はキャンプに出かけるアウトドア愛好家だった。
「厳しいトレッキングやカヌー、北国での急流でのカヌー下りなど、アウトドアの経験が非常に豊富でした」とコリンさんは語っている。
ダグさんとジェニーさんは暗くなるとテントの中で読書をする習慣があったため、コリンさんら家族はクマに襲われた時は読書中で、犬はテントの中にいたのではないかと考えている。
一方、現地に向かったチームは、電子書籍は潰れたテントの中にあったが、2人の遺体と犬は外で発見したという。さらに、空のクマよけスプレー缶と、撃退しようとした形跡も残っていた。
コリンさんは「彼らは1カ所にとどまらずに、なんとかクマを追い払おうとしたのではないか」と述べている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。