アメリカ大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏が、極右陰謀論者のローラ・ルーマー氏と行動をともにしていることに対し、共和党議員からも懸念が示されている。
ルーマー氏は9月8日には、民主党大統領候補のカマラ・ハリス氏が勝利すれば「ホワイトハウスはカレーの匂いがするようになるだろう」と人種差別的なコメントをXに投稿した。
このコメントは、ハリス氏が投稿した、幼少時にインドの祖父母を訪ねた時の写真に対する反応だ。
ルーマー氏は「ホワイトハウスの演説はコールセンター経由で進められ、アメリカ国民は誰も理解できないような顧客満足度調査を通してしか、演説に対する意見を伝えられなくなるだろう」とも述べている。
ルーマー氏の発言は、トランプ氏を支持する共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員からも批判されている。
グリーン氏は陰謀論Qアノンの信奉者として知られ、自身も過去にアジア系の人たちへの差別的な発言をしたこともあるが、ルーマー氏の投稿について「ひどく人種差別的だ。決して許されるべきではない。削除すべきだ」と述べている。
ローラ・ルーマー氏はどんな人物か
ルーマー氏は、陰謀論や反移民、反イスラムの思想を広めることで知られる極右インフルエンサーで、共和党の議員として立候補したこともあるが当選はしていない。
危険な人物とみなされて複数のソーシャルメディアアカウントを凍結されたが、イーロン・マスク氏の買収後にTwitter(現在のX)アカウントは復活し、現在120万人を超えるフォロワーがいる。
AP通信によると、ルーマー氏は2023年には9.11同時多発テロは「内部の犯行」だと主張するビデオをXに投稿し、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領とドナルド・ラムズフェルド国防長官が関係していたと主張した。
一方、トランプ氏は自身の支持者であるルーマー氏を称賛しており、大統領選挙を前に距離を縮めているように見える。
2024年9月10日に行われた米大統領選挙のテレビ討論会前には、ペンシルベニア州フィラデルフィアの空港に到着したトランプ氏の飛行機に、ルーマー氏が搭乗している姿が目撃された。
また9月11日にニューヨークで開催された同時多発テロ追悼式にも、トランプ氏とともに出席した。
ルーマー氏は、「自分はトランプ陣営のスタッフではなくゲストとして招待された 」とAP通信に述べている。
しかし、トランプ氏は10日のテレビ討論会では「ハイチ移民が犬や猫を食べている」という根拠なき陰謀論を主張しており、ルーマー氏がトランプ氏に影響を与えているのではないかという見方もある。
共和党のリンジー・グラハム上院議員は12日、「政策的な意見の相違はあるが、この人物の過去の行動は本当に有害だ」とハフポストUS版に述べ、トランプ氏とルーマー氏が距離を縮めていることへの懸念を語った。