LAC利用者と地元の人々との交流
日本各地に設けられたオフィススペースと居住設備を定額で利用できるサービス「LivingAnywhere Commons」。
伊豆半島にある下田の施設に滞在し、報告するシリーズの3回目は、地元住民との交流を紹介する。
日暮れとともに風がそよぎ、昼間の暑さが和らいできた。
さっきまでリモートワーク中の人たちが使っていた屋外スペースには、地元の幸をふんだんに使った料理や酒が所狭しと並び、たくさんの人々でにぎわう。
この日はLACの利用者と、地元の住民たちの交流会が行われており、さながらパーティーのようだ。
「下田にきたなら海に行くべき」。私もそこで出会った地元の人からそう勧められ、海の話題で盛り上がった。
東京からやって来た利用者と地元住民たちとの偶然の出会いが、新しい人間関係や仕事上のアイデアなどを生む可能性を秘めている。
みんなで作り上げていくLAC
そうしたポテンシャルを高めるために、LACはどうあるべきか。
そんなテーマでこの日、運営会社LIFULLの担当者や地元役場の職員、利用者たちが話し合いをした。
利用者と地元側の「架け橋」になっているのが、LACの運営を現場で取り仕切るコミュニティーマネージャーの存在だ。
LAC伊豆下田では、地元出身の梅田直樹さんが務めている。梅田さんはLACについて、こう述べる。
「利用者と下田の人々の交流によって新しい『何か』が生まれ、それが下田の活性化につながってほしいと思っています」
梅田さんがそう思うのには訳がある。数年前、当時小学生だった娘を連れて夏祭りに行った時のことだ。
娘がぽつりと言った。「毎日この楽しい時間が続けばいいな」
海水浴場を抱える下田は、夏場は多くの行楽客がやってくるが、冬は逆にぐっと減る。
地域の行く末が心配になり、20年続けて来た家業をやめて、地元住民と観光客の交流スペース運営会社に就職した。
それから数年後。
LACを運営する「株式会社LIFULL」がこの会社のキャンプ施設を使ったことをきっかけに代表同士が意気投合し、企業連携が進んだ結果、LACのコミュニティマネージャーに就任した。
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