駅を降りると東京では見れない景色が広がっていた
東京から特急「スーパービュー踊り子」に揺られて2時間半。梅雨が明けた7月の伊豆半島・下田(静岡県)に降り立った。
到着すると駅員が笑顔で出迎えてくれた。
改札を出ると、巨大な青い空とヤシの木が目に入った。
南国情緒あふれるこの地にやってきたのは、海水浴でも観光でもない。
このほどオープンした、風変わりなリモートオフィスを体験するためだ。
「LivingAnywhere Commons」というサービスで、WiFiなどオフィス機能だけでなく、仕事しながらそこに暮らせる居住施設も兼ね備えている。
個人も法人も利用でき、月2万5000円の定額制(サブスクリプション)モデル。
ほかの企業の社員たちやフリーランスの方も同時に利用しているので、彼らとの交流が新たなアイデアのヒントになることもある。
「株式会社LIFULL」が中心となって運営しており、将来的には全国各地に100カ所設けていく。
下田駅から歩くこと4分。磯の香りがしたかと思うと、間もなくLAC伊豆下田が見えてきた。
飲食店だった一角を改造していて、仕事に必要なデスクやWiFiなどがそろう。何よりテンションが上がったのが、屋外にタープが張られ、ここもオフィスとして活用できることだ。
WiFi電波もばっちり入る。キャンプをしながら仕事をしているような感じで、リラックスした状態で働ける。
しばらくパソコンに向き合っていると、地元の人たちや観光客がぞろぞろやってきた。
施設の一部にもなっている飲食店にやってきて、おしゃべりしながらかき氷を食べている。
カフェなどでのリモートワークが意外とはかどるように、適度な生活音があると集中しやすいと聞いたことがある。
なるほど、確かに彼らの楽しそうな会話が、仕事のスピードを上げているようだ。
居住施設はここから徒歩3分ほど。
すでにほかの企業からやってきた利用者数人が仕事をしたり、休憩していたりしていた。
昨日までいた東京のオフィスはといえば、地下鉄の駅近くのビルにあり、取材や撮影で使う機材はすべてそろっている。働くにはとても便利だ。
だけど、毎日満員電車に揺られて、このオフィスにやってくる日々が重なると、時にはこのマンネリな暮らしから抜け出したいと思うこともある。
そんなとき、出会ったのが、このLACだった。
◇ ◇ ◇
リモートワーク、多拠点居住、働き方改革など、仕事を取り巻く私たちの環境は大きく変わりつつあります。
地方の名所で暮らしながら働くことができるLivingAnywhere Commonsのサービスは、そうした動きの最前線です。
LACの1つである下田の拠点について、ハフポストの記者自身は計5回にわたってルポします。
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