新型コロナの影響で「救急崩壊が始まっている状態」。日本救急医学会などが警鐘

日本救急医学会代表理事の嶋津岳士さんと日本臨床救急医学会代表理事の坂本哲也さんがオンライン会見を開いた。
左=日本救急医学会代表理事の嶋津岳士さん 右=日本臨床救急医学会代表理事の坂本哲也さん
左=日本救急医学会代表理事の嶋津岳士さん 右=日本臨床救急医学会代表理事の坂本哲也さん
Huffpost Japan

日本救急医学会日本臨床救急医学会は4月24日、日本記者クラブでオンライン会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、救急医療が危機的な状態にあると警鐘を鳴らした。

両学会は9日に「新型コロナウイルス感染症に対応する学会員、救急医療関係者の皆様へ」という共同声明を発表していた。

■「新型コロナ感染を否定できないと患者を受け入れられない」という病院も

日本救急医学会代表理事の嶋津岳士さんは、高齢者の肺炎は非常にたくさん発生しているが、現在は「新型コロナウイルス感染症を否定できないと患者を受け入れられない」という病院も出てきて、受け入れに困難が生じていると指摘した。

同学会で取った会員アンケートによると以下のような意見が届いたという。

✅ 脳卒中患者でも体温が37°C以上の場合は受入れ拒否している病院がある

✅ 一時的に受け入れた患者が入院が必要となった場合に、転院先を探すのに3時間以上かかるようになり 救急受入れをストップせざるをえない状況となった

✅ 指定医療機関ではないが、発熱患者を受入れると、30km離れた病院からも日中に肺炎患者の紹介が増えた

さらに「新型コロナウイルス感染症ではないと思って受け入れた患者が陽性だった」という報道を紹介しながら、感染が未確定の場合も「陽性の人と同じ扱いをしないといけないので、医療機関への負担が大きい」とした。「最終的には、最後の砦として救急救命センターが受け入れざるを得ない」と話した。

PCR検査などの迅速な検査の一層の実施が必要とした上で、以下のように訴えた。

「新型コロナウイルス感染症の患者の受け入れが増えると、それ以外の重症患者を受け入れる使命を持つ救急救命センターの負担が大きくなります。通常の救急医体制が維持できないという点では救急崩壊が始まっている状態にあると言っていいんじゃないかと考えています」

■「新型コロナ患者を集中して治療できる医療機関を」

この会見には日本臨床救急医学会代表理事の坂本哲也さんも同席。「新型コロナ患者を集中して治療できる医療機関が必要」として、「臨時の病院や入院施設も考えなければいけない」と訴えた。

また、医療用に使われる高性能マスク「N95マスク」が現場に足りてないとして「国から産業界に呼びかけて国産のN95マスクの増産を呼びかけて欲しい」と話していた。

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