アメリカのタレント、キム・カーダシアンさんが矯正下着ブランドに『KIMONO(キモノ)』と名付けた問題で、京都市は6月28日、カーダシアンさんが関わるアパレル会社にブランド名の再考を求める文書を送付したことを発表した。
問題をめぐっては、ブランド名が日本の民族衣装の「着物」を意味することから、「日本文化の盗用ではないか」との批判がネット上に続出。ブランド名に異を唱える声が多数寄せられており、「Change.org」では反対署名のプロジェクトも立ち上がった。
カーダシアンさんは、現地時間27日時点でブランド名を変更する意向がないことを米メディアに明らかにしているが、批判が止む気配はない。
京都市が抗議。「きもの文化」への愛込もる文書
事態を受け、日本の「きもの文化」の中心地でもある京都市は28日、公式サイト上に門川大作市長名義の文書を公開。
「KIMONO」の文字を使用したロゴなどを商標登録出願しているKIMONO Intimates社に対し、ブランド名を再考するよう求めた。
文書は英語版、日本語版で公開されており、英語版は「あなたの商標として『kimono(きもの)』という名称を使う決断を再検討するようお願いしたく、この手紙を書いています」との書き出しで始まる。
文書では、「(「きもの」は)日本の伝統的な民族衣装であり、暮らしの中で 大切に受け継がれ、発展してきた文化」で、「日本人の美意識や精神性、価値観の象徴」だと主張。
近年は、日本を訪れる外国人旅行者が着物を着て京都散策を楽しんでいることにも触れ、「日本が誇る伝統文化である『きもの』が、世界の人々に愛されていることの表れであります」とつづっている。
「私たちは、『KIMONO』『きもの』『着物』の名称は、きものやきもの文化を愛する全ての人々の共有財産であり、私的に独占すべきものではないと考えます」とし、ブランド名を再考するように求めた。
最後は、「キム様には、私たちの強い思いを御理解いただくためにも、『きもの』をはじめあらゆる日本の文化を守り育ててきた京都にお越しいただき,『きもの文化』 の神髄に触れていただければ幸いです」と結んでいる。
京都の門川大作市長は、「着物の市長」として知られており、着物姿がトレードマークだ。着物のPRにも力を注いでいる。
門川氏はニュースアプリ「NewsPicks」で、「これを機に、多くの方々に『きもの文化』の本当の素晴らしさに触れていただくことを念願します」とコメントした。
世耕大臣も反応 「アメリカ特許商標庁にも話をしたい」
この問題に、世耕弘成経済産業相も反応した。世耕氏はTwitterで、ユーザーから寄せられた質問に答える形で「着物は日本が世界に誇る文化です」とツイート。
「しっかりと審査してくれるよう、アメリカ特許商標庁にも話をしたいと思います」と述べた。