京都市は7月2日、米タレントのキム・カーダシアンさんが下着ブランド『KIMONO(キモノ)』の名称変更を表明したことを受け、「あなたの思慮深い御英断に心から敬意を表します」とコメントを発表した。
「着物」という名称を使った同ブランドには「文化の盗用」などと強い反発が起きており、京都市は、カーダシアンさん側にブランド名の再考を求める抗議文を送付していた。
問題をめぐっては、カーダシアンさん側が「KIMONO」の文字を使用したロゴや、「KIMONO BODY」などの名称を商標登録出願していたことにも批判の声が上がっていた。
カーダシアンさんはブランド名変更の意向がないことを示していたが、7月1日、自身のTwitterとInstagramでブランド名を変更することを表明。批判の高まりを受け、事実上撤回したかたちだ。
京都市は、門川大作市長名義で文書を公開。「貴社から販売予定の商品について『KIMONO』の名称を再考されるとのこと、あなたの思慮深い御英断に心から敬意を表します」とコメントした。
最後は、「日本文化と『きもの』を敬愛するキム様には、いずれ京都にお越しの際、是非、きものを着て京都のまち、京都の文化をお楽しみいただければ幸いです」と結んでいる。
また、「世界中の『きもの』ファンの皆様」との書き出しで、ブランド名や商標登録出願に異を唱えていた人々に対し、「この度は多大な御理解・御支援をいただきましたこと感謝申し上げます」と感謝もつづった。
同市産業観光局の担当者によると、7月2日時点でカーダシアンさん側から同市に対して連絡や返信などは届いていないという。
名称変更を受け、京都市が発表した文書全文は以下の通り。
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KIMONO Intimates 社
キム・カーダシアン・ウェスト様
貴社から販売予定の商品について「KIMONO」の名称を再考されるとのこと、あなたの思慮深い御英断に心から敬意を表します。「きもの」「きもの文化」を愛する世界中の多くの方々の熱い思いを御理解いただけたことを大変嬉しく思います。
日本文化と「きもの」を敬愛するキム様には、いずれ京都にお越しの際、是非、きものを着て京都のまち、京都の文化をお楽しみいただければ幸いです。
世界中の「きもの」ファンの皆様
世界中の「きもの」「きもの文化」を愛する皆様、この度は多大な御理解・御支援をいただきましたこと感謝申し上げます。世界中に多くの「きもの」「きもの文化」を大切に思う方々、さらにそれぞれの国の歴史や伝統、服飾を含む文化を継承される方々がいらっしゃること、心強く感じました。
引き続き、皆様とともに、日本のこころや文化の象徴である「きもの文化」のユネスコ無形文化遺産への登録を目指し、“日本の宝を世界の宝へ!”と力を尽くしてまいります。
「きもの」「きもの文化」、そして世界各地の民族衣装が継承され、世界の文化交流が深まることを願います。
京都市長
門川大作市長