緑色の屋根に赤い壁。まるで神社の神殿のような不思議なつくりだ。広大な湖にポツンと浮かんだ建物を写した写真が、SNS上で話題になっている。
この写真を撮ったのは、廃墟の撮影で知られる写真家のtoshiboさんだ。11月16日、「茨城県北浦の湖上に浮かぶ謎の社。湖のど真ん中にある為、往来は不可」と4枚の写真を投稿した。
■岸からは約1km。一般の人は到達困難な場所
北浦とは、日本で2番目に大きな湖「霞ヶ浦」の一部だ。この建物のある場所は、対岸から約1km近く離れている。
toshiboさんによると、たまたま付近を通りかかったときに建物に気づき、2019年11月17日に対岸からドローン「Mavic Air」を飛ばして撮影した。かなり距離があり、電波が届くか少し不安だった。「なぜそんな物が湖のど真ん中にあるのかは、かなり気になりました」とハフポスト日本版の取材に振り返った。
Twitter上では「茨城県に5年近く住んでいたけど知らなかった」「行ってみたい」「開けたらすごいものが出てきそう」などと大きな反響を呼んでいる。
■その正体は水質の観測所だった。デザインの由来は「東国三社」
何かの宗教施設なのか、いたずらか。正体が気になって調べたところ、意外とあっさりと「謎の神殿」の正体は判明した。これは、北浦の水質を調べる観測施設「釜谷(かまや)沖水質自動監視所」だった。
北浦の水は水道のほか工事用水や農業用水などに使われているが、水質が問題ないか自動観測している。この建物を設置した「水資源機構・利根川下流総合管理所」に問い合わせたところ、以下のような話だった。
「釜谷沖水質自動監視所は、1994年6月に設置しました。この地域には、東国三社として知られる鹿島神宮、香取神宮、息栖神社(いきすじんじゃ)があることから、これらの神社をイメージして建てられました。北浦の水深は3〜4メートルあることから、鉄鋼製の杭がかなり深くから打ち込まれています。年に3〜4回、職員がボートで行って点検作業をしています。北浦をはじめとする霞ヶ浦の水質監視のことが、SNSで注目を浴びることはうれしく思います」
霞ヶ浦の西浦には「掛馬沖水質自動監視所」があるが、こちらは「霞ヶ浦の風物詩だった帆曳き船をイメージして建設しました」と利根川下流総合管理所の担当者は話している。
以下のツイートの右上。まるっこい形をした観測所がそれだ。