岸田文雄氏は自民党総裁選への立候補を表明した8月26日の記者会見で、「自民党を若返らせます」と宣言し、党役員の任期を3年までにして、中堅若手を役員に大胆に登用する考えを示した。82歳の二階俊博氏が歴代最長の5年以上にわたって幹事長を務めている中での発言で、注目される。
■「特定の方を念頭に申し上げたつもりはありません」と二階氏との関連は否定
自民党総裁選は9月末に菅義偉首相の総裁任期満了に伴うもので、9月17日に告示、29日に投開票される。菅首相は「その時期が来たら出馬をさせていただきたい」と再選をめざす意向を示している。岸田氏は2020年9月に実施された前回の総裁選にも立候補したが、菅首相に大差で敗北していた。
岸田氏は26日の立候補会見の冒頭で「国民政党である自民党に声が届いていないと国民が感じている」として、「我が国の民主主義を守るために」自民党総裁選に立候補すると話した。
自民党のガバナンス改革を進める上で、党の役員に中堅若手を大胆に登用して「自民党を若返らせます」と宣言。総裁を除く党役員の任期を「1期1年連続3期まで」とすることで「権力の集中」と「惰性」を防ぐ考えを示した。
自民党役員では、2016年8月3日に就任した二階幹事長の在任期間が歴代最長で5年を超えている。記者団からは二階幹事長を意識した政策かという趣旨の質問が出たが、岸田氏は「特定の方を念頭に申し上げたつもりはありません」と関連を否定した。
■岸田氏の冒頭挨拶で「党役員任期」に触れた部分
隗より始めよ。民主主義を守るためには自らが変わっていかなければなりません。そうしなければ、自民党に厳しい目が注がれている。その現状の中で信頼を回復することはできないと思います。自民党のガバナンス改革を進めて参ります。
自民党が多様性、包容力を持つ国民政党であり続けられるように、党の役員に中堅若手を大胆に登用し、そして自民党を若返らせます。また、自民党が新陳代謝を続けていける組織であるよう、比例73歳定年制については堅持をいたします。
また、政治とカネの問題については国民の皆さんに丁寧に説明をし、そして透明性を高めて参ります。こうした刷新を進めていくために、私は自民党の党役員の任期を明確化するべきだと思っています。総裁を除く党役員につきましては、1期1年連続3期までとすることによって、権力の集中と、そして惰性を防いでいきたいと思います。
■記者から「二階幹事長の任期」について聞かれた部分についての応答
Q:自民党幹部の任期について「1期1年連続3期まで」と掲げるとおっしゃっていましたが、今、二階幹事長が長期にわたって幹事長を務めていて権力の集中が実際に起きている。これに批判もあるわけですが、なぜ、この政策を打ち出したのかと。二階幹事長への批判の声をどう受け止めているかを教えてください。
A:私が党役員の任期について申し上げたのは、決して特定の方を念頭に申し上げたつもりはありません。考えてみますと、私自身も政調会長を3年以上やりましたので。今の自民党の中で冒頭に申し上げたように、中堅・若手をより幅広い人材、若い人材を登用しようと考えた場合に任期を考えるのは大事ではないか。こうした思いで、そうした考え方を示させていただきました。