アメリカのタレント、キム・カーダシアンさんが立ち上げた矯正下着ブランド「KIMONO(キモノ)」が「文化の盗用ではないか」などと波紋を呼んでいる問題で、カーダシアンさんがニューヨーク・タイムズ紙に声明を寄せた。
同紙によると、カーダシアンさんは「私は日本の文化における着物の重要性を理解しており、深い尊敬を持っています」とコメント。
ブランドが「(日本の)伝統的な衣服に似ている商品や無礼にあたる商品をデザインしたり、発表したりする」ことはないとし、ブランド名を変更する意向がないことも明らかにした。
どんな問題なのか
カーダシアンさんは6月25日、自身のInstagramやTwitterで矯正下着ブランド「KIMONO」の立ち上げを発表。
9色展開で、XXSから4XLまでの豊富なサイズを揃えており、立ち上げには「15年間情熱を捧げてきた」とコメントした。
「文化の盗用」との指摘、商標登録にも批判
発表後、ブランド名の「KIMONO」が日本の民族衣装の「着物」を意味することから、ネット上で「日本文化の盗用ではないか」との批判が続出。
「KIMONO」の文字を使用したロゴや、「KIMONO BODY」などの名称を商標登録出願していることにも非難が相次いだ。出願は下着やアクセサリー、バッグなどを登録範囲にしており、28日時点で申請中となっている。
Twitter上では「#KimOhNo」というハッシュタグが誕生し、ブランド名に異を唱える声が多数寄せられており、「Change.org」では反対署名のプロジェクトも立ち上がった。
日本でこの問題が取り上げられた例はあまりないが、ハリウッドなどでは、「文化の盗用」は頻繁に問題になる。文化の盗用問題について、ウェブメディア「CELESY」は以下のように解説している。
「ある文化の一部を、その文化を保持していない者が搾取また制圧的に利用する行為」。この「ある文化」とは多くの場合マイノリティのそれを指す。
(中略)
文化的、宗教的な意味合いがある伝統をその意味を理解せず、その上勝手にトレンドとして使用を煽るような行動は、彼らの文化を盗用していると感じている。
白人は他の文化を一部利用するも、個人の裁量でそれを利用しないも選択の余地があるけど、マイノリティの人々はその文化を背負って未だ人種差別が残る社会で生きていくしか道がない、という不平等な文化搾取からもこの「盗用」という表現が為されている。
(【連載企画第一弾】Cultural appropriation(文化の盗用)って何?人気フェス・コーチェラから見えてくる意外な一面|海外セレブ&モデルの情報満載[セレシー]より 2016/06/09)
カーダシアンさんがコメント ブランド名は変えない意向
問題が取り沙汰されてから、カーダシアンさんは沈黙を貫いていたが、27日にニューヨーク・タイムズ紙が「キム・カーダシアンのKimono論争(Kim Kardashian West and the Kimono Controversy)」と題した記事を掲載。
カーダシアンさんは同紙に声明を寄せ、今後「(日本の)伝統的な衣服に似ている商品や無礼にあたる商品をデザインしたり、発表したりする」予定はないと主張。ブランド名を変更しない姿勢を示したという。
カーダシアンさんは、「日本の文化における着物の重要性を理解しており、深い尊敬を持っています」ともコメント。
「KIMONO」の商標登録については、「私が手がける矯正下着やブランドでその言葉を使うことを許可するためのものですが、それは、例えば誰かが着物を作ることや、『kimono』という言葉を伝統衣裳を示す際に使うことを排除したり、制限したりするものではありません」としている。