ハリウッドの俳優ケビン・スペイシー氏(58)が10月29日、ドラマシリーズ『スタートレック』に出演する俳優アンソニー・ラップ氏(46)から少年時代にセクハラを受けたと告発され、SNSを通じて謝罪した。
スペイシー氏は声明の中で、「ゲイとして生きることを選ぶ」と自身のセクシュアリティーについてカミングアウトしており、「問題のすり替え」など非難の声があがっている。
ラップ氏はバズフィードUS版のインタビューで、14歳の頃にスペイシー氏の自宅で開かれたパーティーで、ほかの客が去ったあと同氏に抱きかかえられ、ベッドに連れ込まれたと明かした。スペイシー氏に押し倒されるような格好になり、性的アプローチを受けたという。
ラップ氏は関係を拒否しその場から逃れることができたが、自身の性的指向について話す心の準備ができていなかったこともあり、その出来事を母親に打ち明けることができなかったと振り返っている。
その後、スペイシー氏が『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞助演男優賞を受賞するなど、俳優として名声を高めていく様子を見ながら、つらい思いを抱え続けたと語った。
今回の告発は、映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏からセクハラ被害を受けたと名乗り出る声が次々と上がったことがきっかけになったという。
「正直に言って、その出来事を覚えていない。30年以上前だったはずだ。だが、彼が説明するような振る舞いをしたとしたら、心からお詫びしなければならない。酒に酔った上での極めて不適切な振る舞いだったはずだ。(ラップ氏が)長年抱えてきた思いに対して、心から謝りたい」と謝罪した。
さらにスペイシー氏は、自身の私生活について言及。「私はこれまで、女性とも男性とも関係を持ってきた。昔から多くの男性を愛してきたし、ロマンチックな出会いもあった。そして、今はゲイの男性として生きることを選んでいる」とつづった。
コメントの最後は、「このことについて正直に、そしてオープンな姿勢で向き合い、そのために自身の行動を監視していきたい」と締めくくっている。
セクハラ被害について謝罪したスペイシー氏に対し、批判が相次いでいる。声明文で謝罪の直後に自身のセクシュアリティーをカミングアウトしたことについて、複数の著名人から「問題のすり替え」と非難する声があがった。
あのケビン・スペイシーの声明は、ありえない。絶対にダメだ。ありえない。(テレビ司会者のビリー・アイヒナー氏)
ゲイであることと、未成年の少年に執拗に迫ることは、何ら関係がないということをクリアにしたい(コメディアンのキャメロン・エスポジート)
この騒動を受け、スペイシー氏が主演するネット動画配信サービス・Netflixのドラマシリーズ『ハウス・オブ・カード』の終了が決定した。
性の被害は長らく、深い沈黙の中に閉じ込められてきました。
セクハラ、レイプ、ナンパ。ちょっとした、"からかい"。オフィス、教室、家庭などで、苦しい思いをしても私たちは声を出せずにいました。
いま、世界中で「Me,too―私も傷ついた」という言葉とともに、被害者が声を上げ始める動きが生まれてきています。
ハフポスト日本版も「Break the Silence―声を上げよう」というプロジェクトを立ち上げ、こうした動きを記事で紹介するほか、みなさんの体験や思いを募集します。もちろん匿名でもかまいません。
一つ一つの声を、確かな変化につなげていきたい。
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