就活で「20年後はどうなりたいですか?」と聞かれて…。
大学4年の就職活動。
「20年後はどうなりたいですか?」
そんな質問を何度も聞かれた。
周りの就活生が「営業として御社に貢献する」、「力をつけて起業を目指す」などと言っている中、自分は不思議と「父親として子育てをしたい」と答えていた。
就活については山ほどセミナーがあり、20年後のキャリアの在り方もたくさん提示されている。だけれども20年後の父親としての在り方セミナーは全くない。
就活のように学内セミナーが開かれるわけは当然なく、あったとしても就活セミナーの質疑応答で少し聞かれるくらいだった。
家族の形は自分の生まれた家族くらいしかほとんど知らない。そして知る機会がない。
そんな時に「家族留学」に出会った。
思い出はいつもお母さんだった。
僕が育った家族は、どんな家族だったか。
家に帰るとお母さんがいて温かいご飯があって、休日はサッカーを一緒にしてくれて、放課後は勉強も見てくれて、習い事に付いてきて、やたら自分より熱心に指導を聞いて家に帰ってからもアドバイスをしてくれた。
お父さんは普通の会社員で、ガッツリ休日も働いていた。父親の事情を私も理解していたし、母親がいつも一緒にいてくれる日常が楽しかった。周りの友達もそんな感じだったし、たまにいる子育てするパパは物珍しく映った。でもどこかで少しだけ、遊んでくれるお父さんが羨ましく思えた。
「家族留学」は驚きの連続
就活を通じて、「父親として子育てをしたい」という夢に気づいた僕が出会った「家族留学」。
「家族留学」とは、manmaという会社が提供する、学生や若手社会人が育児中の家庭を訪問して生活体験するプログラムだ。訪問先夫婦との交流や育児体験などを通して、仕事と育児の両立や家事・育児の分担について学び、ライフキャリアの構築に役立てることを目的としている。
(下記記事より引用)
僕は、大学4年生時に、5つの家族に「留学」した。
驚きの連続だった
家族ってこんなに多様なのか。
共働きを知らない自分にとって家族の一つ一つがすごく新鮮だった。
共働きといってもいろんな分担方法があって共働きの極意を学んだりした。
そこからさらにいくつかのご家庭に家族留学をした。
「子供が産まれたら2度目の人生が始まった。」
「家族という絶対的な最小単位のコミュニティは、自分をも成長させる」
就職を控え将来の家族を考えていた時期だったからかもしれない。
一つ一つの言葉が自分の身にしみた。
お子さんと協力して料理に挑戦したり、家族を合理的に考えていたりいろんな発見があった。
訪問するご家族と話しているとパパママの悩みが飛び出し、私が相談に乗ったりもする。
子供の進路や習い事、学校の係についても。
そんな話を聞いていると自分が5歳の時に母親が抱えた悩みを知って、なんだか母親に感謝を伝えたくなったりする。
家族留学中はもちろん家族留学を終えた後もメッセージのやり取りを通して人生相談にのってもらったりご家族とSNSで繋がって日々更新される子供達の日常、そして成長が自分を励ましてくれる。
家族を考えるきっかけを多くの人へ
卒論もライフデザインをテーマにするなどずっと家族について考えていた。
けれども家族とか子育てを語れば語るほど、友達には変なやつだと思われてしまう。実際大学生が家族について話すことも考えることもほとんどない。
そこでゼミの友達を家族留学へ参加してもらうことにした。
半ば無理やり連れて行ったが、帰り道には感謝された。
「家族だけでなく将来の進路や生き方についても、いろんな視点からアドバイスをくれて、そして家族というものを初めて意識した」
そんな感想がとても嬉しかった。
結婚もしていないのに、大学生が家族や子育てについて語る意味はほとんどないかもしれない。子育ては経験しないとわからないことだらけだというのはわかっている。
でも、家族や子育てについてほとんど考える機会がない大学生にとって、家族について考えるきっかけだけでも大きな成長になったりする。自分もそうだった。
社会人になる前に、もっというと就活の前に自分の家族以外の家族を知る機会があるとちょっと人生の考え方が変わるかもしれない。
社会人になるに向けて期待と不安が入り混じっている。
ゼロから仕事を叩きこまれたくさんのタスクが降りかかったきて、できないことが苦しくなり、目の前のことをこなすことに精一杯になってしまうかもしれない。
でもそんな時に、家族留学で出会ったご家族の言葉が思い出されると思う。
「今を楽しもう。仕事も子育ても今を楽しんだ方がいいでしょ。」
今やらねばならぬことに一生懸命になりながら、未来の目標を忘れずに一歩ずつ進んでいきたい。