加藤勝信官房長官は1月14日午前の定例会見で、菅義偉首相が前日の会見で国民皆保険に触れたことについて「国民皆保険制度という根幹をしっかり守っていく」なかで、医療制度を検証していくという趣旨だったと説明した。
■菅首相の国民皆保険発言とは?
菅首相は13日夜、緊急事態宣言の対象区域を4都県から11都府県に拡大するのに伴って記者会見を開いた。その中で、ビデオニュース・ドットコムの神保哲生さんの質問に答える中で、国民皆保険についても触れた。
医療法改正を検討するかという質問に対して、菅首相は「医療法についても今のままでいいのかどうか。国民皆保険、そして多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けて行く中で、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要はあると思っています」と答えた。
この回答について、「菅首相が国民皆保険の見直しに言及した」とSNS上で話題が沸騰。立憲民主党の蓮舫参院議員もTwitterで「国民皆保険を感染症を契機に見直すととれる発言の真意は何か」と疑問を呈していた。
■加藤官房長官の説明は……
加藤官房長官の14日の会見では、朝日新聞の記者が、SNS上では「国民皆保険が見直しされるのでは?」という声も出ていることに触れ、首相の真意について聞いた。
加藤氏は「国民皆保険制度という根幹をしっかり守っていくなかで」、日本の医療制度を「検証しながら検討していきたい」という趣旨だったと説明した。やり取りの全文は以下の通り。
ーーー昨日の総理会見の中で、医療法と感染症法の法整備の必要性について質問があった際に、総理は質問で聞かれていなかった国民皆保険について言及されました。総理はどういう真意で、国民皆保険について言及されたのか。説明をお願い致します。
加藤氏:なぜっていうか、総理が昨日おっしゃったことに尽きると思います。我が国の保険制度は、まさに国民皆保険制度でありますから。その制度の中で、それを維持して対応……。いろんなことが起きてきますから、それに対して対応力を高めていくと。その考え方はこれまでも一貫しているわけですから、特段それに加えたことはお話しされたわけではなくて。そうした中で、今回の感染症という問題にどう対応していくのか。こういうことを言及されたものと思います。
ーーー国民皆保険見直しを言及されたわけではなかったと思うんですけど、総理が皆保険を持ち出したことで、文脈の中で何の改正が必要なのか明確ではなかったのか、SNS上では「国民皆保険が見直しされるのでは?」という声も一部で話題になりました。今回の不要不急の外出自粛要請を特に午後8時以降と強調したことで、昼間も自粛して欲しいということが伝わりにくかったこともあると思います。政府のメッセージがうまく伝わらない現状についてはどうお考えになりますか?
加藤氏:前者は総理のメッセージではなくて、質問に対してお答えしたということなんで、今、おっしゃった1点目と2点目は(論点が)ちょっと違うんじゃないかなと思います。1点目は、あくまでもご質問があり、そして今の感染症の対応の中で、日本の医療制度の対応はどうなのか?という視点からの質問だったと思います。それに対して、いわば国民皆保険制度という根幹をしっかり守っていくなかで、こうしたものをどう考えていくのか。検証しながら検討していきたいと、おっしゃられたと思います。後者の話は、メッセージは非常に大事なものですけど、よく考えていかなきゃいけないと思っております。広範に言うとかえって内容がぼけてしまう。中心に言うと「それ以外はしなくていい」と受け止められてしまうんで。いろんなご指摘をいただいてます。それぞれのご指摘はもっともだと思いますけど、それを踏まえた上でどういうメッセージを発信していくのかってのは、常に心がけていきたいと思います。