檻に監禁の男性、失明状態で発見 福祉サービス利用なし
障害のある長男(42)を檻(おり)に閉じ込めたとして、兵庫県三田市の無職山崎喜胤(よしたね)容疑者(73)が監禁容疑で逮捕された事件で、長男が1月に保護された際、片目を失明しており、もう一方の目もほぼ見えない状態だったことが捜査関係者への取材でわかった。県警は長男が檻での生活を20年以上強いられていたとみており、失明の経緯も捜査する。
一方、三田市は9日、高見智也健康福祉部長らが会見し、事件発覚の経緯や市の対応状況を説明した。
市によると、山崎容疑者は20年以上前、長男について複数回、市に相談していた。長男は障害者手帳を持っていたが、市の福祉サービスを利用したことはなかったという。
市は今年1月16日、福祉関係者からの連絡で「行動を制限されている障害者がいる」と把握。山崎容疑者と連絡をとり、障害福祉課の職員らが2日後の18日に自宅を訪ね、檻にいる長男を初めて確認したという。
市はこの時点で虐待の疑いがあると判断したが、その場で山崎容疑者から隔離せず、受診や福祉施設への入所を勧めた。翌19日に再訪し、檻に入った長男を改めて確認。22日に受診させることを山崎容疑者が了承し、22日の診察後に福祉施設に入所させたという。
市はこうした対応や県警への通報が約1カ月後の2月21日になったことについて「生命、身体に危険があれば強制的に保護するが、そこまでの緊急性はないと判断した。通常の福祉サービスを提供することで、長男を支援していくことにした」と説明した。
捜査関係者によると、山崎容疑者は長男や妻らと同居。妻は1月下旬に病死した。山崎容疑者は妻の介護について福祉関係者に相談した際、長男を檻に入れていると打ち明けたという。
(朝日新聞デジタル 2018年04月10日 00時50分)