ロシアのフィギュアスケーター、カミラ・ワリエワ選手が、ドーピング検査で陽性になった問題を巡り、元フィギュアスケート選手のアダム・リッポン氏が、ロシアのスポーツ関係者を批判している。
リッポン氏は、2018年の平昌オリンピック・団体戦で銅メダルに輝いた、アメリカのフィギュアスケート選手だ。
2月11日に連投したツイートの中で、リッポン氏はワリエワ選手のことを考えると「心が張り裂けそう」と述べ、さらにIOC(国際オリンピック委員会)のロシアに対する姿勢を手厳しく批判した。
リッポン氏のツイート「この状況に、心が張り裂けそうです。この子はまだ15歳。未成年です。彼女の周りの大人たちが完全に失敗している。彼女をこのようなひどい状況に陥らせたことについて罰せられるべきだ」
「IOCのロシアに対するオリンピック参加禁止だけでは不十分だ。私は、ROCの選手たちがコーチや協会を喜ばせるために、やれと言われたことをやっているんじゃないかと思う。責任者に問題がある」
「陽性反応は陽性反応です。今陰性になっても、パフォーマンス向上のドラッグが過程で使われたことは消せない。ひどく不名誉だ。こんなことになる必要はなかった。彼女は子どもなんです」
「彼らは、彼女の健康や福祉よりも、スポーツの結果を優先させた。胸糞悪い。彼女やすべての人にとってのオリンピックの経験を台無しにした」
「ROCは、惨めなまでに自身のアスリートを裏切り、またも世界の舞台で恥をさらした。この疑問視されているオリンピックですべてをかけ、戦っているロシアの選手たちのことを考えると心が痛みます」
「世界の人は、スポーツを新しいレベルへと引き上げようとするアスリートたちを祝福したいと望んでいる。しかし公平なプレーを何度も拒む人たちがいれば、それはできません」
ワリエワ選手のドーピング陽性の経緯
リッポン氏の投稿と同日の11日、ITA(国際テスト機関)は、2021年12月に実施されたドーピング検査でワリエワ選手が陽性だったと発表した。
ITAによると、陽性反応が出たのは、WADA(世界アンチドーピング機構)が禁止薬物としている「トリメタジジン」で、検査結果は2月8日に検査機関から届いた。
陽性結果を受けて、RUSADA(ロシアアンチドーピング機構)はワリエワ選手を暫定的に資格停止処分としたものの、その後ワリエワ選手側からの抗議が認められ、処分は解除されたという。
IOCはこのRUSADAの決定を不服として、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に上訴する方針だ。
ワリエワ選手は、2月7日に行われたフィギュア団体戦に出場し、オリンピックで女性で初めて2種類の4回転を成功させた。ショートプログラムとフリーでのワリエワ選手の演技は、ロシアが団体戦で金メダルを取る原動力になった。
陽性反応を受けて、団体戦のメダル授与式は延期されている。この種目では2位はアメリカで、3位は日本、4位がカナダだった。
ワリエワ選手は2月15日に開催される女子フィギュアの個人種目にも参加予定で、それまでには授与式についての決定が行われるのではないかと見られている。
ロシアは、国家ぐるみのドーピング違反があったことが判明し、オリンピックなどの国際大会への出場が複数年間禁止されている。東京オリンピックと北京オリンピックでは、選手たちはROC(ロシアオリンピック委員会)所属として出場している。
ROCは、「ワリエワ選手は北京で何度もドーピング検査をパスしており、同選手とチームは正当な方法で金メダルを取った」と主張している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。