水質浄化をアピールするために川の水をコップで飲んだインドの政治家が数日後、激しい腹痛で入院したことが報じられた。州議会の与党は「定期検診」だったと火消しに走るも、川の水を飲んだことが原因で感染症にかかったのではないかと憶測を呼んでいる。
■「重度の腹痛で空中搬送」と報道される。与党は「定期検診による入院」と説明
地元メディア「インディアン・エクスプレス」によると、入院したのはインド北西部のパンジャブ州を治めるバグワント・マン州首相だ。
7月17日に州内を流れるカリベイン川の水質浄化が始まってから22周年記念行事に参加した。川のほとりに植樹したほか、カリベイン川から直接コップで水をすくって飲んだ。
しかし、その2日後の19日夜、公邸で激しい腹痛を抱え、デリーの病院に航空機で搬送されて入院したという。その上で、「州首相の病気は川から直接水を飲んだことが関連している」と匿名の情報源を元に報じている。
パンジャブ州議会の与党「AAP」のパンジャブ支部は17日、カリベイン川の水を飲む州首相の様子を動画でTwitterに投稿していた。
地元メディア「NDTV」に対してAAPの指導者たちは、州首相が胃感染症になったという噂を否定した。入院は定期検診によるもので、20日に退院したと主張している。
■シク教の開祖が悟りを開いた「聖なる川」。2000年から浄化運動も魚の大量死事件が起きたことも
インドの多数派はヒンドゥー教徒だが、パンジャブ州の約6割は地元発祥のシク教を信仰している。シク教の開祖であるグル・ナーナクが潜って悟りを得たと伝えられており、カリベイン川は信者の間で神聖視されている。
米誌「TIME」によると、インドでは1960年代以降、品種改良や化学肥料の大量投入による「緑の革命」で食料生産が向上した一方、河川の水質汚染が深刻になった。2000年から環境運動家のシーチュワル氏の働き掛けで、地元住民によるボランティアなどの水質浄化運動が始まっていた。
ただし、2013年にはカリベイン川で魚が大量死したことが地元紙で報じられた。下水道処理場が正常に動いていなかったことや、周辺村落からの汚水の流入が原因だったという。