7月17日は「海の日」。家族や友人と海水浴を楽しみにしている人も多いかもしれない。
しかし、シャチや鳥の形をした「フロート」に乗った子どもが沖に流される事故が発生しており、注意する必要がある。
国民生活センターの実験では、漂流から2分弱で約50メートルも沖に流された。
この場合、子供だけの力で帰還することは難しく、すぐに発見されなければ最悪の事態につながる可能性もある。
命を守るため、何に気をつければいいのか、センターの実験動画とともに確認する。
フロートとは?陸からの風によって…
国民生活センターが2020年7月に発行した「くらしの危険」によると、09〜18年の10年間に起きた「海で遊泳中の子どもの事故」は計583件。
そのうち、「溺水」が341人(58.5%)、「帰還不能」が202人(34.6%)、「負傷」が35人(6.0%)などだった。
この帰還不能の事故で発生しているのが、陸からの風によってフロートが沖まで流されるケースだ。
フロートとは、空気を入れて使用するビニール製の乗り物で、海洋生物型、鳥型、動物型、サーフ型など様々ある。
なお、センターは次のようなフロートの事故を把握している。
《18年8月、4歳の子どもが姉と動物型のフロートに乗って遊泳中、風に流されて帰還不能に。バランスを崩して落水し、肺水腫となった》
《18年7月、5歳の子どもが母親と動物型のフロートに乗り、父親がフロートをつかんだ状態で遊泳していたところ、強風で父親の手からフロートが離れ、帰還不能になった。2人にけがはなかった》
実験映像でわかった事故の恐怖
相次ぐ事故を受け、国民生活センターは2019年、海水浴場でフロートにダミー人形を乗せ、どのように流されるのか確かめる実験を行っている。
そして、その実験映像を2023年7月14日、Twitter(@kokusen_ncac)で発信した。
映像を見ると、風速2〜4メートルの風が吹く中、フロートが海岸にそって流されていることがわかる。
そして、55秒後には沖に向かって流れ始め、フロートは海岸から20メートルの位置まで離れた。
ここで救助者が追い始めたが、110秒後には海岸から約50メートルの位置まで漂流し、追いつくことができなかった。
この実験では、鳥型のフロートが最も風による影響を受け、漂流速度も早くなることがわかったという。
国民生活センターは、フロートで遊ぶ上での注意点を6つ挙げている。
①フロートのサイズが大きすぎると、乗った時に水面に足がつかずに水をこぐことができなくなるため、対象年齢を必ず確認する
②保護者は子どもから目を離さず、フロートからも手を離さないようにする
③落水に備えて、ライフジャケットを着用させる
④監視員やライフセーバーがいる遊泳可能な海水浴場で使用する。事故の約半数がそうではない場所で起きている
⑤風の強い日は使用を控える
⑥フロートの形状に応じた安定した乗り方で遊ばせる
また、万が一、事故が起きてしまった場合は、海上保安庁の緊急通報用電話番号「118番」に通報し、いつ、どこで、何があったかを簡潔に伝えることが重要だ。