シリアで武装勢力に拘束され、10月に帰国したフリージャーナリストの安田さんが11月9日、日本外国特派員協会で記者会見を開いた。
質疑応答の中で、2日に開いた日本記者クラブでの会見で示した「謝罪」の必要性について問われる一幕があった。
質問した記者は、国境なき記者団が声明で、「安田氏は謝罪する必要がない。ジャーナリストとして戦地取材を試みたことや、耐え抜いて解放されたことはむしろ歓迎されるべきだ」などと指摘したことを紹介。批判や自己責任論が噴出した日本社会と、海外報道の世界には乖離があると述べた上で、謝罪が必要だったのか、見解を尋ねた。
これに対して安田さんは、「私自身の行動にミスがあったのは間違いはないので、批判をいただいて、今後に生かしていくため『お詫び申し上げます』ということを申し上げています」と答えた。
一連のやりとりは、次の通り。
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記者:お詫び、謝罪についての質問です。ご存知かどうかわかりませんが、国境なき記者団が先日、ステートメントを発表している。その声明の中身は「謝罪をすべきではない。謝罪する必要はない」という内容のものです。ジャーナリストとしてすべきことをしただけなので、むしろ称賛、歓迎すべきという内容の声明になっています。
声明の内容や海外メディアの世界と、日本社会や市民が期待していることは、ある意味で異なった常識があると感じることがあります。
ジャーナリストは、危険な場所に行って、現場で起きていることを取材して伝えるのが仕事です。政府や利益団体に管理、コントロールされることはなくて、現場での情報を伝えることがジャーナリストの本来の仕事です。
これからが質問ですが、世界で活躍するジャーナリストとして、本当に謝罪する必要があったと考えられているでしょうか。
日本が民主国家なので、民主主義おいては、権力にコントロールされる情報ではなくて、現場の直の情報を伝えるのがジャーナリストの仕事ではないでしょうか。
日本政府が解放に向けて働いたこともあったと思いますが、私は、民主主義国家におけるジャーナリストとしての仕事をしたと思います。
謝罪をするのではなく、帰国したことで歓迎されるべきでしょうか。それについてコメントをお願いします。
安田さん:ジャーナリストの仕事が、政府や権力にコントロールされるものではないことについて、全面的に賛成します。
今回謝罪というか、私自身の行動にミスがあったのは間違いはないので、この点に皆様のご批判をいただいて、今後に生かしていくために、まずご挨拶というか、ご批判をいただくにあたって、「お詫び申し上げます」ということを申し上げています。