物議を醸しているアメリカ・テキサス州の中絶規制法は、国が州に対立し、法廷闘争に持ち込まれることになった。
メリック・ガーランド司法長官は9月9日、「事実と法律を慎重に審査した結果、司法省はテキサス州に対して訴訟を起こすことにした」と発表した。
どんな法律なのか
この法律により、テキサス州では妊娠6週目以降の中絶が禁止された。しかし多くの人が6週目の段階では妊娠に気付かないため、実質ほとんどの中絶ができなくなる。また、レイプや近親相姦による妊娠も例外扱いされない。
さらに、中絶を「手助け」や「ほう助」した人たちを、赤の他人が訴えることが認められ、勝訴した場合には「報奨金」が得られる。
この中絶規制法は5月にテキサス州のグレッグ・アボット知事が署名し、9月に施行された。
中絶や女性の権利擁護団体が、連邦最高裁に法律の差し止めを求めたものの、最高裁は差し止めを認めなかった。
「法律は憲法への反抗」と批判
司法省はテキサス州の中絶規制法を「憲法に対する公然とした反抗だ」と、批判している。
訴状の中で同省は、これまで認められてきた期間の中絶を不可能にした点や、レイプや性的虐待、近親相姦での例外を認めていない点、憲法で保障された女性の権利行使を禁じた点などを問題視した。
また、中絶を手助けした人を訴えて報奨金を出すことについて、ガーランド氏は記者会見で「一般市民が他の市民の憲法上保護された権利を侵害するのを認める法律が、社会や州にダメージを与えるということは長時間熟考せずともわかる」と述べた。
司法省は訴訟に先立つ9月6日にも、声明を発表している。その中でガーランド氏は、司法省がテキサス州に対して、何らかの措置を取る意思があることを伝えていた。
また、「クリニック受診の自由法」によって「リプロダクティブヘルスサービス(性と生殖に関する医療サービス)を受けようとする人と提供しようとする人を守る」とも述べていた。
「クリニック受診の自由法」は、中絶などのリプロダクティブヘルスサービスを受ける人や提供する人を、傷つけたり、脅したり、妨害したりするのを禁じる法律だ。
声明でガーランド氏は「クリニックやリプロダクティブヘルスセンターが攻撃された場合、司法省は、連邦法執行機関とともに支援する」と述べている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。