テレグラムのチャットルーム、通称「博士部屋」で、児童・青少年を含む女性への性搾取物を作り共有したチョ・ジュビン被告(24)に、無期懲役が求刑された。
韓国検察は10月22日、ソウル中央地裁で開かれたチョ被告と共犯6人に対する公判で、「被害者は、厳罰に処して欲しいと涙ながらに訴えている」として、被告に対して、無期懲役と電子足輪45年装着を命じるよう求めた。
チョ被告は、2019年5月〜2020年の2月、未成年を含む多数の女性を脅迫し、性搾取的な映像を撮影し「博士部屋」で販売・流布した罪で2020年4月に拘束・起訴された。検察側は被告らが入場料や映像の販売などで犯罪収益を得ていたと主張した。
検察はさらにチョ被告と共犯たちが犯罪団体を組織し、膨大な量の性搾取物を制作・流布したとして、犯罪団体組織罪としても起訴している。
検察側は、チョ被告を「多数の構成員で組織されたチャットルームの『博士部屋』を作った首謀者」と指摘。「他の構成員と被害者の映像を見て侮辱し、首謀者だということを誇りにさえ思っていた」と指摘した。
過去の証人尋問で、被害女性に自撮りをさせる際に小指を立たせる(約束を意味するポーズ)ようにしたり、自身のハンドルネームに「博士」という言葉を使用したりした理由などを聞かれたチョ被告は、「私の被害者(奴隷と称された女性が自分の指示で行動している)であることを知らせようとした」と答えた。
この証言に関連して検察側は、「無数の性暴力を犯したのにも関わらず、他のポルノなどとは違うことをアピールした。多数の構成員を巻き込み、罪の意識もなしに繰り返し大量に映像などを流布した」と述べた。
この日の結審にはチョ被告の父、チョ某氏も証人として参加した。
検察側の無期懲役の求刑に対して、父親は「息子が社会的な騒動を起こし、被害者の方に大きな被害と痛みを与えたことに対し、心から謝罪する」と頭を下げた。
「父親ではあるが、息子が犯した罪を擁護する考えはない」とした一方で「1人の人間の罪を社会全体で追い込んでしまう『魔女狩り』式は避けられるべきではないか」と訴えた。
また、「宣告が残っているが、裁判官により息子の哀れな人生を消滅させない善処をお願いする」としたうえで「父親として国民の皆様に本当に申し訳ない」と述べた。
チョ被告はこの日の公判で、「悪人チョ・ジュビンとしての人生は終わった。悪人の人生に終止符をうち、新たに生まれ反省の道を歩いていく」とし、「処罰として反省と贖罪を越え、貴い反省の前例、手本として生まれ変わる機会が与えられたら、最善を尽くして乗り越えることを約束する」と涙声で最後の弁論を行った。
各地で教師も「n番部屋」に加入していたことが明らかに
一方、韓国の各地で現役の教師が「n番部屋」「博士部屋」に加入していたことがわかっている。
ハンギョレによると、現在までに判明している、テレグラム「n番部屋」に関わった教師は8人。10月15日までにこのうち4人への捜査が検察で既に行われていることが明らかになっている。
韓国の「n番部屋事件」とは?
チャットツール「テレグラム」上で発生した韓国の事件。犯人グループはSNSで女性をだまして性的な写真を入手し、それを元に脅迫する手口でさらにエスカレートした性的搾取画像や映像を送らせたりしていた。画像などは複数の有料チャットルームで共有され、金を払った会員26万人(重複含む)がそれを見ていた。被害者の女性は未成年を含む多数にのぼる。現在、警察が把握した被害者は10人だが、逮捕された容疑者の供述から70人程度と推測されている。韓国政府は、チャットルームの有料会員になって閲覧していた者も含む全員を厳正に調査し、処罰する方針だ。
ハフポスト韓国版を翻訳・編集しました。