ワリエワ選手の出場は「若者を破壊する行為」。元フィギュア選手が責任ある大人たちを批判

ワリエワ選手の問題を巡り、タラ・リピンスキー氏とジョニー・ウィアー氏が周りの大人たちの責任を指摘しています

ドーピング違反が判明したフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ選手(ロシア・オリンピック委員会)は、北京オリンピックのフリーでミスが続き、4位に終わった。

ワリエワ選手は2月15日のショートプログラムでは82.16点とトップだったものの、17日のフリーでは複数回転倒し、演技後は両手で顔を覆った。

演技後に顔を覆うワリエワ選手
演技後に顔を覆うワリエワ選手
Anadolu Agency via Getty Images

明らかに精細を欠く演技を見せた15歳のワリエワ選手と今回のドーピング違反について、アメリカの元競技フィギュアスケート選手、タラ・リピンスキー氏とジョニー・ウィアー氏が「周りの大人たちに責任がある」と指摘した。

NBCの解説を務める2人は、15日のショートプログラムではワリエワ選手の演技についてほとんどコメントをしなかった。

フリーも同じように、演技やミスについてのコメントはほぼなかったものの、採点結果を待つ間、リピンスキー氏は「これがどれだけカミラにとってつらかったか想像できません。周りの大人たちが、もっと良い決定をできなかったことに腹を立てています」と述べた。

「結果に対処しなければならないのは、彼女自身です。彼女はまだ10代であり、これは公平じゃない……とはいえ、彼女はオリンピック出場を認められるべきではありませんでした」

フリーの演技で転倒したワリエワ選手
フリーの演技で転倒したワリエワ選手
VCG via Getty Images

ウィアー氏も「若者を破壊する行為だ」と批判。

涙を流すワリエワ氏を見ながら「1人の人間として、彼女が直面せざるを得なかった状況を経験するのは想像できないことです。それでも、この大会に参加すべきでなかったという事実は変わりません」と語った。

MANAN VATSYAYANA via Getty Images

 国際テスト機関(ITA)によると、ワリエワ選手が2021年12月に受けた検査でドーピング違反だったことが明らかになったのは、北京大会中の2月8日だった。

検査で陽性になったのは世界アンチドーピング機構(WADA)が禁止薬物としている「トリメタジジン」で、他にも心臓疾患の治療薬である「ハイポキセン」と「L―カルニチン」が検出された

この2つの薬は禁止されていないものの酸素の流れを増加させる作用があり、アメリカ・アンチ・ドーピング機構(USADA)はハイポキセンを禁止リストに載せるよう働きかけたことがある。

ワリエワ選手はドーピング陽性だったが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は2月14日に、同選手の北京五輪の出場継続を認める判決を言い渡した。

しかしIOCは、ワリエワ選手が上位3位になった場合は、メダル授与式を延期する方針を示していた。

最終的にワリエワ選手が4位だったために授与式は開催されることになり、ウィアー氏はそれについて「よかった」とコメントした。

その一方でウィアー氏は「周りにいる人たちは、参加させないことで彼女をこの状況から守るべきだった」と訴えた。

15歳で出場した長野オリンピックで金メダルに輝いたリピンスキー氏も「もう一度言いますが、彼女の周りの大人たちを非難します」と強調した。

解説を終えた後、ウィアー氏はツイートで「人生で最も心が痛む試合だった。二度と起きてほしくない」とコメントしている。

Thank you. 🤍 pic.twitter.com/0G4tr9g6DY

— Johnny Weir (@JohnnyGWeir) February 17, 2022

ワリエワ選手のドーピング違反を巡っては、元フィギュアスケート選手のアダム・リッポン氏も「彼女の健康や福祉よりも、スポーツの結果を優先させた」と、周りの大人たちを批判している。

アメリカのアシュリー・ワグナー選手も、ワリエワ選手のフリー演技後に「彼女はこのような状況にさらされるべきではなかった。試合に出るべきではなかった。対処できない問題に直面する場所に、置かれるべきではなかった」とツイートした。 

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。

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