「3年前、『全てのLGBTが自分らしく働ける社会』を作ろうということで、この会社を立ち上げました」
LGBT就職支援のJobRainbowで代表取締役を務める星賢人氏は2月22日、同社の3周年記念パーティーでそう話した。「当時はなかなか理解を得ることができなかった」というが、今では多くの支援者がいる、と同氏は加えた。
「私のトランスジェンダーの友人は就職活動中、企業の方にカミングアウトをしたら、『あなたみたいな人はいない』と言われ、帰らされてしまった。そこから就職活動を諦めて、大学を辞めてしまうというケースが、目の前で起きていた」(星氏)
星氏いわく、求職時に、LGBだと44%、トランスジェンダーだと70%が困難を感じている。
また、カミングアウトしたいと職場で思っている当事者は42%いるが、実際にできているのはたったの4%だという。
「背景としては、69%もの方が差別的言動を経験したことがあるため、言いたくても言えないという現状がある。そこでこの度、3月1日という、就職活動が解禁となり転職活動もピークになるこのタイミングで、みなさんにご紹介したいのがこの『JobRainbow』というサービスです」(星氏)
これまでJobRainbowではLGBTのための求人情報サイト「ichoose」と就職情報メディア「JobRainbow」を別々に運営してきた。だが3月1日より2つのサービスは統合、新生リクルーティングプラットフォーム「JobRainbow」として提供される。
同サービスでは厳選された300以上のLGBTフレンドリー企業を24項目で評価できるほか、制度において「差別禁止規定があるか」「パートナーシップは同性同士でも組めるか」「通称名が使えるか」などLGBTそれぞれのニーズに合った適切な企業に応募ができる状態をつくる。
また、LGBTに特化したエントリーシートも用意。男女だけに限らない多様なセクシャリティから自分自身に最も適したものを選べる。加えて、カミングアウトの範囲においても、人事だけにカミングアウトしたい、全員にしたい、といった範囲から選択することが可能だ。
リニューアル版には新たに、企業の取り組みに「いいね!」を押し応援することができる機能を追加。また、セクシャリティに関する項目は非公開に設定できるようになる。
現在、JobRainbow提供のサービスのMAUはiChooseとJobRainbowを合わせて19万人、累計ユーザー数は115万人以上。ユーザー数の増加を踏まえ、同社ではLGBTフレンドリーな企業20社と当事者800人ほどが出会える合同採用イベント「Real JobRainbow」を3月30日に渋谷のヒカリエにて、史上最大規模で開催する。
今後JobRainbowでは社内ダイバーシティに関するデータを集積し、企業のアセスメントを行う予定だという。現場の声を企業にフィードバックし、「取り組まないことはリスクだ」ということを可視化、そしてイーラーニングやエンゲージメントツールを提供していくプランだ。それに先立ち、同社は「LGBTフレンドリー企業マニュアル」を今週より出版している。
JobRainbowにとって現在、目の前の課題は「就職領域におけるLGBTの課題解決」だが、星氏は「教育」「結婚」「金融」「介護」など様々な領域を総合的に解決できるプラットフォームを作っていきたい、と話していた。また、東南アジアといった地域を含むグローバル展開も既に視野にあるという。
(2019年2月22日「新生「JobRainbow」が3/1にリリース、より総合的なLGBTリクルーティングプラットフォームに」より転載)
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