約1000本の樹木が伐採されることなどに対し、反対の市民運動が続いている東京都・明治神宮外苑の再開発計画。
しかしその数は、低木を含めると約3000本に及ぶことが事業者が新宿区に出した許可申請からわかった。
さらに、提出された許可申請は一部エリアだけであるため、再開発全体の伐採数は、3000本よりはるかに多くなると見られている。
一部エリアだけで伐採数は約3000本
三井不動産などの事業者は2月17日、神宮第二球場と建国記念文庫の森の周辺にある低木(3メートル未満の樹木)について、樹木伐採・移植の許可申請を新宿区に提出した。
このエリアで、伐採・移植される高中木(3メートル以上の樹木)は71本(伐採30本、移植41本)であることがわかっている。
しかし3メートル未満の樹木については詳細が明らかになっていなかったため、新宿区が低木も含めたすべての伐採数を提出するように求めていた。
その結果、今回の伐採の許可申請を出された低木数は2950本だった。
<伐採される低木の数>
建国記念文庫の森周辺:1550本
神宮第二球場周辺:1400本
これに71本の高中木をあわせると、神宮第二球場と建国記念文庫の森周辺の伐採・移植数は3000本を超える。
ただし、今回の許可申請に建国記念文庫の中にある、高中木は含まれていない。
新宿区によると、建国記念文庫の中は新設されるラグビー場の設計次第で、伐採対象の樹木が変わる。そのため、このエリアの許可申請は、ラグビー場の設計詳細が決まった後に別途提出されるという。
さらに、許可申請には聖徳記念絵画館前広場や神宮球場周辺なども含まれていない。
新たな申請が提出されるごとに伐採数は増えるため、低木を含めた再開発全体の伐採数は3000本を大きく上回ると考えられる。
新宿区によると、今回申請された低木には、ツツジなどの小さな樹木もすべて含まれている。また申請段階であるため、伐採数が変更になる可能性もあるという。
伐採を許可しないで――市民たちが新宿区に求める
これまで東京都の環境影響評価審議会では、3メートルを超える樹木について議論が行われてきたものの、低木は光が当たってこなかった。
しかし新宿区によると、低木は基本的にすべて伐採される。
つまり高中木についての議論の背景で、3メートル未満の樹木は詳細が知らされないまま、ほぼすべてが失われることになる。
神宮外苑は、日本初の風致地区に指定された場所で「日本を代表する文化的景観」だ。
多くの市民が、この歴史的・文化的にも貴重なエリアが壊されることに反対の声を上げてきた。
3000本もの樹木が伐採されることは、大きな衝撃を持って受け止められており、反対する市民たちは新宿区に伐採や移植をしないよう求めている。
新宿区によると、許可申請は大きな問題がなければ通常1週間〜10日くらいで認可されるという。