いちょう並木の紅葉が始まった東京・明治神宮外苑で11月25日と26日、市民が再開発の是非を問うシールアンケートを実施した。
神宮外苑では、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て替え、高層ビルや宿泊施設を建築する再開発計画が進められている。
再開発では700本以上の高中木や、少なくとも3000本以上の低木が伐採される計画で、神宮外苑はその姿を大きく変えることになる。
この計画の見直しを求める市民らは、いちょう並木を訪れた人たちにシールアンケートで下記の3点を尋ねた。
(1)再開発計画に賛成か反対か
(2)再開発計画が進められているのを知っていたか
(3)今後、再開発をどのようにすべきだと思うか
男性は「シールアンケートは関心がある人が回答する傾向があるため、いわゆる世論調査には当たらないものの、問題の可視化や周知になります。その特性を踏まえた上でも、強い反対の意思を持っている方がたくさんいると実感できました」とハフポスト日本版の取材に答えた。
男性はこれまで、横浜のカジノ計画や原発など様々な社会問題でシールアンケートを実施してきたという。
それらと比較しても、神宮外苑の再開発は積極的に回答してくれる人が非常に多く、関心の高さを感じると述べた。
「怒っている方がたくさんいらっしゃると感じます。また、内容を知らない方も結構いました。この再開発には、条例を変えて高層ビルを建てられるようにするなど様々な問題が集約されています。内容を知れば、もっと多くの人が反対する可能性もあると思います」
「再開発計画に反対」欄にシールを貼った都内在住の10代の女性は、「ここにビルを建てても意味がないと思います。東京都心には木が少ない。私は自然が好きだから、神宮外苑ではビルではなく、緑を大切にしてほしい」と語った。
事業者(三井不動産、伊藤忠商事、明治神宮、日本スポーツ振興センター)は、再開発では4列いちょう並木は守るとしている。
しかし、新設される神宮球場の壁がいちょうの樹幹からわずか6メートルの至近距離に迫る計画になっており、専門家は「球場を近くに作れば工事で根が傷つき、水循環が絶たれ、いちょうが衰退する」と警告している。
また、4列いちょう並木からラグビー場へ向かう道に植えられている18本のいちょうは移植予定で、現在の場所から姿を消す。
4列並木では、一部のいちょうが著しいスピードで衰退していることも確認されている。
25日と26日の両日、神宮外苑には多くの人が訪れて黄色く色づいたいちょう並木を楽しんだものの、衰退が懸念されるいちょう上部は葉がない状態だった。
専門家は、枯れを食い止めるためにはさまざまな保全策を講じる必要があり、野球場が建設されればいちょう並木は将来的には枯死するだろうと訴えている。