東京・明治神宮前で7月12日、神宮外苑の再開発見直しを求めるデモが開かれ、樹木伐採への反対を訴えた。
この再開発では、明治神宮や三井不動産などの事業主が、東京都の「公園まちづくり制度」などを利用して、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て替えるほか、高さ190メートルや185メートルの高層ビルを建築する。
10年以上にわたる工事で樹齢約100年の木を含む大量の樹木が伐採されることなどから、事業を認可した東京都や事業者に対し、市民や専門家が見直しを求める運動が続いている。
12日のデモでは、集まった約30人の参加者たちが「外苑の樹木を守る」などのメッセージを掲げ、樹木を伐採しないよう訴えた。
東京都内に住む高橋さんは「『安易に伐採しないでくれ』というメッセージを伝えたいと思い、参加した」と語った。
「木は一度切ったらもう元には戻りません。今日、八王子では最高気温が39℃を記録しました。今、私たちは気候変動の危機に直面しています。それなのになぜ樹木を伐採するのでしょうか。事業者も会社の理念には良いことを掲げているのに、逆行しています」
今回のデモを企画した楠本淳子さんは、再開発のために、神宮外苑の風致地区指定が知らないうちに変えられたことへの怒りを語った。
神宮外苑は、約100年前に日本全国の人たちからの献金や献木、ボランティア活動で作られた公園だ。
楠本さんは「100年前の先人たちが100年後の私たちのことを考え、1本1本木を選んで森を作ってくれた。それを私たちは、100年後の子どもたちのために守り受け継ぐ義務があります」とも訴えた。
楠本さんは、東京都や文部科学省、文化庁に対し、計画の見直しのほか、神宮外苑のシンボルになっている4列のいちょう並木の名勝指定を求めている。