東京・明治神宮外苑の4列いちょう並木の枝が折れたことを受け、市民団体が11月12日、いちょうの保護を求める要請文を港区長に手渡した。
東京都によると、枝が折れているのが発見されたのは11月6日朝で、翌日に撤去した。折れたのは車道に面する2本の枝で、原因はわかっていない。現在都がどういう状況で折れたのかを調べている。
神宮外苑では高層ビルなどを建てる再開発が進められているが、事業者は4列いちょう並木は守るとしている。
しかし、今回いちょうの枝が折れるという事故が起きた後も、原因究明や再発防止策がないまま、工事が進められている。
この事態に、神宮外苑の近隣住民からなる「神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」は懸念を表明。
工事を一時中断して原因究明と再発防止策を示すことを港区から事業者に指導するよう、要請書で求めた。
要請書を受け取った港区の清家愛区長は、「4列のイチョウ並木や景観を守っていくというのは、港区としても重要だと思います」と述べ、対策を求める意向を示した。
有志の会が、いちょうを確実に守る策として提案しているのが名勝指定だ。
これまで何度も、神宮外苑のシンボルである4列いちょう並木と、秩父宮ラグビー場横の2列いちょう並木の両方を、名勝指定するよう求めており、今回の要請書でも改めて依頼した。
港区教育長の浦田幹男氏は名勝指定について「明治神宮側と調整をしており、引き続き話をしていきたい」と述べた。
神宮外苑の再開発では、神宮球場と秩父宮ラグビー場を場所を交代して建て替えるほか、高層ビル3棟などを建築する予定だ。
その過程で600本以上の高木を切る予定で、10月28日には一部高木の伐採が始まった。
その直後に起きた今回の事故について、有志の会代表の加藤なぎささんは「まずは原因を究明し、2度と起こらないよう対策を立ててほしい。それができなければ、『いちょうを守る』という最初の約束自体が頓挫していることになると思います」と要請書手渡し後の記者団の取材に述べた。