中学生以下の子どもがいる家庭に支給される「児童手当」が縮小されることになった。どんな風に変わるのか。解説しよう。
■夫婦合算は見送り。年収1200万円以上の場合は「特例給付」を廃止へ
政府は12月15日に「全世代型社会保障改革の方針」を閣議決定した。これまで夫婦のうち高い方の年収が960万円以上の世帯は、児童手当を満額ではなく、子供一人あたり月額5000円の特例給付していた。
今回の決定では、このうち年収1200万円以上の場合は特例給付されなくなった。待機児童の解消を目指すための財源を捻出するのが理由だという。
政府は2021年の通常国会で関連法案の成立を目指す方針。変更は2022年10月支給分から適用されるという。
政府は当初、特例給付の見直しだけでなく、所得制限の算定基準を「夫婦のうち高い方の年収」から「夫婦合算」に変更することを検討していた。しかし、共働き世帯に対して厳しい内容になることから、公明党が反発して見送られた。
■年収1200万円未満では影響なし
今回の変更では、年収1200万円未満の世帯には影響がない。年収960万円以上1200万円未満の世帯は、これまで通り月額5000円の特例給付が受けられる。
960万円未満の世帯には、児童手当が満額支給される。子供1人あたりの児童手当の月額は、0~2歳は1万5000円。3歳~小学生は1万円(第3子以降は1万5000円)。中学生は1万円となっている。
■所得制限額は世帯によって微妙に変わるので注意
所得制限の額は、扶養親族の人数によって微妙に変わる。きっかり1200万円と960万円とは限らないので注意が必要だ。
内閣府子ども・子育て本部の担当者によると、所得制限のラインが1200万円と960万円となるのは、子供2人と年収103万円以下の配偶者がいる世帯の場合だという。
特例給付に切り替わる960万円のラインについては、内閣府の公式サイトで扶養親族の人数が0〜5人の場合の一覧表を掲載している。
特例給付がなくなる1200万円のラインの細かい所得制限額は、法改正後に政令で定めるので現状では未定だという。
【UPDATE】内閣府によると、政府は2月2日の閣議で、夫婦のうち高い方の年収が1200万円以上の世帯は廃止する方針を盛り込んだ児童手当法などの改正案を決定した。国会が可決すれば、2022年10月支給分から適用される。(2021/02/02 15:07)